ブロックチェーンがクラウド2.0である理由:専門家の見方

 エキスパートテイクでは、仮想通貨業界内外のオピニオンリーダーがその見解を示すと共に、経験を共有し、専門的な助言を与える。ブロックチェーン技術やICOの資金調達、税金、規制、さまざまな経済分野での仮想通貨の採用事例まで、あらゆる話題を提供する。

 クラウドイノベーションは、1兆ドル(約107兆円)近いエコシステムを生み出した。しかし、それはほんの第一歩に過ぎない。ブロックチェーンにより、再び同じことが繰り返されると考えるのが合理的だ。

 クラウドは、中央集権から抜け出す最初の一歩だった。企業は常時利用するファイルを保管し、アプリケーションを実行するために、大きな帯域幅のネットワークを用意する必要があった。しかし、自社のサーバールームでその仕組を運用するには、メンテナンスや一貫したセキュリティーの維持、適切な設備、定期的な更新などの必要性があり、負担となっていた。そこで企業はサーバーをオフサイト(クラウド)へと移動させることで、ハードウェアの制約を克服し、業務を拡大させることができた。

 今日、企業はオフィスを実質的にどこにでも置くことができ、遠隔地にいる労働者を採用することも容易だ。コンピューターやスマートフォンは、様々な場所に点在している、より高い処理能力へアクセスするための単なる架け橋に過ぎない。

労働力を分散化させたクラウド

 現在、ブロックチェーンにより、コンピューティング構造に第2の変革の波が来ている。ブロックチェーンは分散型台帳システムを通し、安全で、改ざんの心配がなく、民主的なコンピューティングネットワークを生み出した。これは、ハッキングが不可能なプログラムやウェブサービス、透明性のあるネットワーク、より強力な信頼性を持つシステムの実現につながる可能性のあるものだ。

コンピューティングを分散化するブロックチェーン

 ブロックチェーンはマイナーを使って数学の問題を解かせ、コンセンサスを提供する。マイニング参加者は、自らのコンピューティング能力をブロックチェーンネットワークに貸し出し、その報酬として仮想通貨を受け取る。彼らは全体としてネットワークを作り上げ、新たなブロックの生成を検証する。マイナーのグループはネットワークにノードのシステムを作り出し、データを保存・処理する。マイナーは世界中にコンピューティングプールを持ち、その処理能力を次の作業に割り当てる:

  • ブロックチェーンの完全なコピーの維持
  • 取引の検証と処理
  • アプリケーション/スマートコントラクトの実行

 最も人気のあるブロックチェーンプラットフォームの1つであるイーサリアムでは、開発者はイーサリアム仮想マシン(EVM)を通してブロックチェーンへアクセスすることができる。EVMは、分散型アプリケーション(Dapps)を構築するための開発ツールを提供する。Dappsはバックエンド処理を、ブロックチェーンを使って行う。

 単独のサーバーで動くアプリケーションの代わりに、Dappsは断片に分割され、まるでいくつもの川の流れが同時にほとばしるように、一斉に実行される。複数のコンピューターが、細分化されたプログラムを、冗長性を持って実行する。それらのプログラムは、常にコードを検証し続けるコマンドベースの台帳を作り出す。単独のコンピューターがバックエンドで完全なアプリケーションを保有しないので、ハッキングやデータの破壊行為はほとんど不可能になる。

 クラウドコンピューティングと違い、分散型ブロックチェーンはサーバールームを必要としない。クラウドアプリケーションは通常、わずかな数のノードで冗長性を保つため、イーサリアムのように、ネットワーク上で動作する数千近いノードに冗長性が保証されることはない。

 クラウドは企業の敷地内からサーバーを撤去し、どこか別の場所に処理能力を集中させた。ブロックチェーンは処理能力を細かく切り分け、その全てを世界中に散らばらせている。

 インターネット全体のコンピューティング能力を利用するブロックチェーンの可能性は、仮想通貨には価値がなく、テクノロジーの一時的な流行や、バブルのようなものだという、間違った考え方を覆す。仮想通貨はより賢く安全な交換システムとしての役割を果たすことができる、というのが真実であり、より多くのインターネットテクノロジーやアプリケーションをもたらしてくれる。

 ブロックチェーンを使って、私たちはボランティアのネットワークである「インターネット/クラウド2.0」を作り出し、サイバーセキュリティーの強化や、コンピューティング・AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)・記録管理の進歩に役立てることができる。それはあらゆる市場分野の課題に対する、数兆ドル規模のソリューションであり、ここで論じているのは、そのほんの表面に過ぎない。

 この記事における見解や解釈は執筆者によるものであり、必ずしもコインテレグラフの見解を表すものではない。

ベン・ノーブル氏はブロックチェーン技術のマーケティング・PR会社「マーケットブローク」の創業パートナーで、仮想通貨事業に関わる以前は、クラウドベースサービスに精通したマーケティング専門家としての実績を持つ。

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