ベネズエラの通貨であるボリバル・フエルテは、ハイパーインフレにより暴落している。公式に発表されているボリバルの価格は1ドルが9.95ボリバルだが、実際はブラックマーケット上で現地の人々によって約5,000ボリバルが1ドルで取引されている。ボリバルの切り下げを避け、必要な日用品を購入するために、ベネズエラの人々はビットコインに頼り支出を賄い始めている。

現地の為替レートでは、100ボリバルが0.02ドルに相当する。ベネズエラの最高額紙幣は100ボリバルだったが、政府が今週初めに廃貨にしている。その結果、ベネズエラの経済と通貨システムは混乱に陥り、人々は日々の生活を送るための資金繰りに追われた。

現在の最高額紙幣は50ボリバルで、0.01ドルに相当する。つまり、ベネズエラの人々がパン代やランチ代を支払うためには、約4ドルのランチを食べるにも50ボリバル紙幣を200枚用意しなければならないということだ。

ベネズエラのブルームバーグ報道長、Nathan Crooks氏は、トイレットペーパーや食品などの日用品を購入するのにも大量の紙幣を持ち歩かなければならない状況であると語る

 

何故人々はビットコインに切り替えるのか

 

分散型通貨としてのビットコインは、高い流動性と安定したグローバルな為替相場、そして最も大事である透明性という利点を持つ。ベネズエラの人々が米国ドルをブラックマーケットで購入したとしても、国外から外貨を空港や国境を越えて持ち込むような通貨管理は事実上不可能だ。

ボリバルは毎日のようにその価格を下げており、現地の人々はビットコインのようなオンライン上で利用することで自国に食料を届けることが出来るようなアセットや通貨を探し求めている。

ベネズエラの住民や、ベネズエラを訪れる旅行者たちは、ビットコインの利用を通してAmazonのようなeコマースのプラットフォームにアクセスすることで食料を調達し始めている。

メジャーなプラットフォームはビットコインを直接的には受け入れていない一方で、Purseのようなeコマースのプラットフォーム上で誰でも仮想通貨を利用して商品を購入することが出来るようなサービスが存在している。

“ビットコインは、ベネズエラや世界、そのどちらにおいてもメインストリームではありませんが、テクノロジーの分野で注目が集まっています。異なる業界からこれからさらにもっと参入したいと考える企業は増えてくるでしょう”と、CryptobuyerのJorge Farias CEOは語る。

CryptobuyerはPurse.ioのような、ビットコインを利用して食品などの商品が購入できるプラットフォームだ。

“Cryptobuyerを利用すれば、ビットコインをボリバルに換金し、携帯電話料金、テレビ代、水、電気代など、ボリビアでの日常的な生活における必要な支払いを銀行送金のように行うことが出来ます”と、Farias氏は語る。

ガーディアンによる他のビットコイン利用者に対する取材では、母親の骨ガンの治療に必要な薬を買うためにビットコインに頼っている事例が掲載されている。彼は取材に対し、地元のビットコイン取引所でビットコインを購入し、ガンの治療に必要な治療や薬代を代わりに購入してくれる友人に送金していると話している―

“会社が倒産してしまい、かなりの借金を背負ってしまったため、ビットコインなしで母のガンの治療を行うことは難しかったでしょう。ビットコインのおかげで国の通貨が崩壊している間も何とか生活をつなぐことが出来たのです”と、33歳の中古の靴屋のオーナー、Eliさんは語った。