米国政府が、ヘルスケア事業におけるハッキング対策のためブロックチェーンに投資

最近、米国国家医療IT調整室(ONC)が、医療記録などへの利用を目指したブロックチェーン技術に関する報告書を発表している。

ヘルスケア業界における多くの企業は、しばしば複数のデータベースやサービスを運用し、個人を特定する際に利用可能な医療記録である保護されるべき医療情報(PHI)を保存している。米国の法律では、患者の個人情報や医療記録はPHIと見なされる。

数多くのハッキングやフィッシング攻撃に悩まされる医療業界

毎年、数多くのヘルスケア関連企業がハッカーによる攻撃の被害に遭い、医療データが流失している。盗まれた患者やPHIなどの大量のデータベースは、ハッキング後ダークウェブで売られることが多い。ランサムウェアやフィッシングなどの高度なハッキング攻撃やセキュリティ侵害が頻繁に起こり始めたことにより、医療企業の幹部たちは、顧客情報のプライバシー保護のためブロックチェーンのような技術の導入に注目し始めている。現在、ONCは、米国政府がスポンサーを務めるコンペティションに提出された15の導入案を元に、積極的に医療用ブロックチェーン・ソリューションを模索している。提出された導入案には、プライバシー基準の向上を図るためのピアツーピアネットワークによる健診データ分析、情報交換のための相互運用性の向上、顧客トラッキング、個人情報保証と認証、ヘルスケア関連のクレーム処理の改善や、分散型記録管理システムによる電子診察記録などの案が含まれていた。

とある報告書によれば、ONCによって厳選された15の導入案の草案者は、1,500ドルから5,000ドルの助成金を受け取ったという。ONCで医療IT担当コーディネーターを勤めるヴィンデル・ワシントン氏は次のように語っている

「信じられないほど今回の我々のチャレンジに対して注目が集まっていることに驚いています。暗号通貨に関するブロックチェーン技術のユースケースは多くの人が知っていますが、今回の我々の取り組みによって医療におけるブロックチェーンの新たな素晴らしい革新的ユースケースが見出される形となりました」

電子医療データ共有におけるセキュリティ問題

ONCは、15の企画草案の中からさらに候補リストを作成し、細かくプロセスを追っている。改ざん不可能なブロックチェーンを利用し、ヘルスケア関連事業を行う企業が安全に顧客データを管理し、透明性が向上されることで、リアルタイムにアップデートされたデータベースへのアクセスを可能にする基盤プラットフォームの構築を目指している。

重要なのは、ブロックチェーン技術は、医療機関と取引を行う仲介業者や第三者のサービスプロバイダー間でローカルなトークンを用いて取引を行うことが出来るようになる点だ。

Laure Lynn氏が発表した"健診データ用ブロックチェーンおよび、医療ITやヘルスケアにおけるブロックチェーンの潜在的利用に関するリサーチ"と題された研究論文の中で、ONCは次のように述べている

「ブロックチェーン技術は、現在の医療ITシステムにおける相互運用性の課題に対処し、個人、医療提供者、ヘルスケア関連事業を行う企業および、医学研究者が安全に電子健診データを共有することを可能にする技術標準となる可能性がある」

近いうちに、ONCは、ブロックチェーンを基盤にした、米国国内のヘルスケア企業が独自の民間システムを構築するために活用可能なインフラの導入を予定しているようだ。