国連(UN)のアントニオ・グテーレス事務総長は、ブロックチェーン技術を明確な議題とする「デジタル協力に関するハイレベルパネル」を立ち上げた。国連ニュースが12日に明らかにした。中国のEコマース大手アリババのジャック・マー氏がパネルの共同議長を務めることから、ブロックチェーン技術の世界的普及への前向きな一歩となりそうだ。
「初めての試み」という同パネルは、業界や民間,研究機関から有識者20名を選任し,デジタル技術が世界経済と社会に及ぼす影響、グテーレス氏の言葉を借りると「前例のない規模」で「超高速」で進行中の影響について調査する。
国連事務局の新たな同パネル代表を務め、パネル事務局長と共同議長を兼任するアマンディープ・ギル大使は、次のように述べた。
「ブロックチェーンやAI(人工知能)を見ずして『ウェブ3.0』を見ることはできない。人権、プライバシー、民主主義の破壊という観点で、様々なデジタル領域について議論することを通して、国境を越えた協力の強化についなんらかの一般原則を導き出せることを期待している」
ギル大使はサイバーアタックと選挙不正疑惑に関する懸念の高まりを挙げながら、デジタルトランスフォーメーションの「機会とリスクと意図せぬ結果」を強調。ブロックチェーンとAIのような新技術に対するパネルの「分野横断的」アプローチにより、9カ月の期限終了までに最大限のインパクトを残せると考えている。
また、グテーレス事務総長は、米国の慈善活動家、メリンダ・ゲイツ氏と、中国Eコマース大手アリババ創業者のジャック・マー氏が共同議長を務めることも明らかにした。
マー氏は、16年夏にはすでにアリババの子会社アント・フィナンシャルを通してブロックチェーン技術を導入。同社はそれ以来、ブロックチェーン技術の開発に140億ドルの資金を調達し、最近はブロックチェーンによる送金試験を初めて成功させている。
国連は、イーサリアムのブロックチェーンを使用してシリアの難民に仮想通貨に基づくクーポンを送付したのを皮切りに、ずいぶん前から主に人道的ま目的でブロックチェーンの利用方法をいくつも探ってきた。