ベストセラー『世紀の空売り』で有名になった投資家のマイケル・バーリ氏は、キャシー・ウッド氏のARKイノベーションETFに対するショートポジションを獲得した。

米証券取引委員会(SEC)への報告によれば、バーリ氏のヘッジファンドであるサイオン・アセット・マネジメントは、ARKイノベーションETFに対して約3100万ドル(約34億円)相当のプットオプションを取得した。プットオプションは、株式やファンドの価値が下落すると利益が出ることになる。

イノベーションETFは、資産226.2億ドルのARK最大のファンドだ。テスラやスクエア、コインベース、グレイスケールのビットコイントラストなど、様々な破壊的なテック企業に投資している。

資料によれば、ARKの主力ファンドをショートしたのはバーリ氏だけではなかった。ローリオン・キャピタル・マネジメントは、約1億7100万ドル相当のプットオプションを保有している。またゴールデンツリー・アセット・マネジメントやムーア・キャピタルなども弱気ポジションを保有している。

しかしウッド氏はこのチャレンジを楽しんでいるようだ

「彼の名誉のために言えば、マイケル・バーリは住宅/不動産ローン市場での災難を認識し、ファンダメンタルズに基づいて素晴らしい投資を行った。しかし彼がイノベーション分野での爆発的な成長と投資の機会を生み出しているファンダメンタルズを理解しているとは思えない

ウッド氏は仮想通貨の強固な支持者として知られている。今年7月にはビットコインETFの組成を目指し、スイス拠点の21シェアーズと提携した。

ARKは4月に1億1000万ドル分のコインベース株を購入し、7月にはグレイスケールのビットコイントラスト45万株以上を購入している。これらのいくつかはイノベーションETFのためのものだ。

『世紀の空売り』のバーリ氏は、仮想通貨について懐疑的なことでも知られている。今年6月、個人投資家が仮想通貨やミーム株に投資することは「すべての暴落の母」だと、バーリ氏は警告した

「すべての誇大宣伝や投機は、すべての暴落の母の前に個人投資家を引き込むことになる。仮想通貨が数兆下落するか、ミーム株が数百億下落するとき、#MainStreetの損失は国のサイズ並みになるだろう。歴史は変わらない」

バーリ氏は住宅ローン市場の崩壊を予測し、莫大な利益を得たことで知られている。マイケル・ルイス氏のベストセラー『世紀の空売り』の主人公であり、映画化された際にはクリスチャン・ベールがバーリ氏を演じた。