メルセデス・ベンツで有名なダイムラーがまもなくMercedes Payという名の決済サービスを始めると聞いたら驚くかもしれない。先日、同社によるPayCash Europeの買収が発表されている。
PayCash Europeは、多くのモバイル決済ソリューションや、電子マネーソリューション事業、暗号通貨に関連したサービスや、バウチャーおよびロイヤリティ関連サービスを展開する企業だ。メルセデス・ベンツの親会社であるダイムラーが、このPayCashをダイムラー・フィナンシャル・サービスを通じて買収することが先日発表された。
ダイムラー社は何故PayCashが必要だったのか
少なくとも、あのメルセデスが暗号通貨企業の買収を行う主な目的は、否定こそしていないものの、ビットコインに対する関心によるものではなかったようだ。
ダイムラー・フィナンシャル・サービスの取締役会役員、Bodo Uebber氏は、同社のプレスリリースで次のように明かしている―
「Mercedes Payは、弊社のモビリティとデジタル化戦略における基礎的な要素です。この新たな決済システムには、デジタルモビリティサービスを展開する大手プロバイダーとして、提供する製品やサービスをさらに魅力的なものにしようというダイムラー社としての野望が背景にあります。」
PayCashは、Mercedes Payへとその姿を変え、ダイムラー・フィナンシャル・サービスの子会社でCar2Goのようなシェアリングサービスなど多くのモビリティサービスを提供するダイムラー・モビリティ・サービス社に統合されることになる。
同社は400万台の融資の対象となる車両を用意するポートフォリオを掲げており、”将来的な金融取引を円滑に進める”ための新たな決済システムを採用する予定であることがダイムラーの発表によって明かされた。
モビリティをすぐそばに
ダイムラーとPayCashが手を組むことで固有の相乗効果が生まれることだろう。PayCashのシステムを利用すれば、ユーザーはオンライン上で物品の購入などをモバイルを通じて行える。また、GoogleとApple、どちらのアプリストアでもアプリケーションはダウンロード可能で、資金の送金も可能だ。
PayCashが提供する電子マネーサービスを利用して、企業はオンライン決済や”電子マネー”を管理することが可能で、また、ダイムラーのCar2Goによるビジネス展開により、ユーザーはモバイルアプリを利用したカー・シェアリングが可能である。このアプリを利用すれば、ユーザーは目的地まで近場にある車を利用してドライブすることが出来る。Car2Goは現在120万人以上の消費者に利用されている。
ダイムラー・フィナンシャル・サービス取締役会長、Klaus Entenmann氏は、今回の買収についてプレスリリースで次のように語っている―
「弊社は、”モビリティをもっとあなたのそばに”ということを信念として掲げています。”Mercedes Pay”を利用すれば、スマートフォンを通じてお客様は簡単かつセキュアに弊社の提供するモビリティサービスに対して支払いが行えるようになります。Mercedes Payは、ダイムラーのサービスを利用する際に余計な顧客情報を提供したくないお客様にとっても重宝するサービスです。これは”電子ウォレット”、すなわち、バーチャルソースを利用した決済によって可能になったものです」
つまるところ、ベンツはビットコインで買えるのか?
ダイムラーとPayCashは買収に関する詳細をまだ明らかにはしていない。
PayCashによる暗号通貨ビジネスがどの程度影響し、まだ同社の運用を続けていくのかについても定かではない。
ダイムラーによるプレスリリースによると、主に、PayCashが運営する電子ウォレットや電子決済事業に関心を寄せていることがわかる。PayCashの買収によって近いうちに直接ビットコインでベンツが買える可能性があることを考えると興味深い。