米証券取引委員会(SEC)が現物型ビットコイン上場投資信託(ETF)を承認したことを受け、Web3の専門家たちは、非代替性トークン(NFT)にも影響を及ぼす可能性があると主張している。

仮想通貨投資会社サイファー・キャピタルのビル・チェン会長は、NFTのような「代替資産」と認識されているものが、米国のビットコインETFの承認によって「間接的に恩恵を受ける」と主張する。チェン氏は、ETFの承認が金融業界におけるビットコイン受け入れにも重要な役割を果たし、NFTにも影響を及ぼす可能性があると信じている。

「ビットコインに対する理解が高まり、広く受け入れられるようになれば、投資家の関心がNFTにも向けられるだろう」とチェン氏は説明する。さらに、デジタル資産に対する知識と快適さの拡大が、BTCと並ぶ有望な投資としてNFTの「広範な受け入れ」につながる可能性があると付け加えた。

NFTプラットフォームEnjinのコントリビューターであるアトラス・デベロップメントのオスカー・フランクリン・タン最高財務責任者も、現物型ビットコインETFの承認が「NFTを後押しする」と考えている。

同氏は過去30日間で8億ドルの取引を記録したオーディナルズ・プロトコルに言及し、「ビットコインにはNFTがある」と指摘する。タン氏はまた、ETFの承認が決定的な意味を持つとも主張する。これにより、最大のデジタル資産が個人投資家向けにSECに承認されたことを示していると言う。「説明する必要はない。ブラックロック、フィデリティ、コインベースといった大手の名前を冠したETFを指摘すればいい」とタン氏は語る。

さらに、タン氏はビットコインの現物ETFに続き、次にはイーサリアムETFが登場し、イーサリアムベースのNFTへの関心が再燃する可能性があると付け加えた。

「これにより、ボード・エイプ・ヨット・クラブやクリプトパンクスのようなオリジナルのイーサリアムNFTに再び注目が集まるだろう。ビットコインNFTよりもはるかに歴史があり、確立されたコミュニティを持っている」

Web3ソーシャルプラットフォーム「ナイスグラム」のセルゲイ・シェレグ最高製品責任者は、ETFのような伝統的な金融構造と仮想通貨の統合がNFT市場にとって前向きなシグナルだと話す。同氏はこれにより信頼が向上し、NFT分野への機関投資家の関与が増えると考えている。

シェレグ氏は、デジタル資産を取り巻く規制が非常に迅速に進化しており、これがチケット販売、アートの分割所有、アイデンティティ管理など、NFTにおける影響力のあるユースケースの確立につながるとのべた。

一方、NFTゲーミングプラットフォーム「アップランド」の共同創設者であるディルク・ルース氏は、ETFは仮想通貨市場への参入に対するリスクと複雑さを減少させると指摘する。これにより、NFT分野での取引活動がより拡大するとみている。ルース氏はまた、市場流動性の増加、価格変動の減少、インフラの改善、より明確な規制に伴い、この分野が成長する可能性が高いと考えている。さらに、承認により認識が高まり、仮想通貨業界が「米国にとどまり、将来性があることが確認される」とルース氏は指摘する。