イーサリアムはハードフォークするべきか、ハッカー集団の5,000万ドル持ち逃げを許すべきか

ショッキングなDAOの5,000万ドル盗難事件を受けて、イーサリアムコミュニティは歴史的決断を迫られている。Vitalik Buterin氏は、ブログの中で重要なアップデートと題してイーサリアムの開発者コミュニティによって、現在も続くハッキングに対する解決方法としてフォークが提案されていると綴った。

しかしその決断はイーサリアムコミュニティに寄ったものだ、とイーサリアムの開発者の一人であるGeorge Hallam氏は語る―

 

「フォーク可能なコードを提供することは出来ます。しかしコミュニティ全体が一致団結して今後の対処方法を決めなければなりません。一財団による決定ではいけないのです。皆がその意見には賛成するはずです」

 

Hallam氏は、コミュニティの意見が一致するかどうかは、統合とフォーククライアントのリリース時間を見積もり、”マイナーがすぐにフォーク実行を選ぶかどうか”だと指摘している。

Slock.itのスポークスマンGriff Green氏によれば、ハッキングされたイーサーは”Child DAO内でロックされた状態のため、イーサーの出金が向こう27日間は不可能”であるという。記念碑的な意思決定が数日から数週間で下される必要がありそうだ。

 

フォークするか、しないか

 

RedditやTwitter、DAOのslackチャンネルでは既に様々な絶え間ない議論が繰り広げられている。3人のマイナーたちに話を伺うと、そのうち一人は選択の余地はないため、フォークに賛成票を入れるしかない、と語っており、誰もが賛成のようだった。

アップデートの内容としては、childもメインのDAOもソフトフォークにより凍結されるが、大枠はハードフォークであるため、トークンホルダーが引き出しが出来るように、ファンドを新たなスマートコントラクトへ送ることが可能であると、とGreen氏は語っている―

 

「どちらの提案された道にもVitalik氏や他のイーサリアムコミュニティのリーダーによって多くのサポートが寄せられ、イーサリアムブロックチェーンの一部分にしか影響がないということは重要な点です」

 

 

主な反対意見としては、一度例外を認めてしまったら、という度々ビットコインホルダーたちが議論してきた内容のものだ。もし、盗人が5,000万ドルかそれ以上のイーサーを持ち逃げするのを防ぐためにハードフォークすれば、次は薬物利用者の利用規制、次はウィキリークスへの寄付禁止、などと次々に介入できるだろうという議論である。

Blockstreamプレジデント、Adam Back氏はコインテレグラフに次のように語っている―

 

「ビットコインは絶対にハードフォークしませんでした。ビットコイン開発者たちは、マウントゴックスのアカウントに凍結した資金がある状態でも、断固として手を貸すこと拒否し、返金のためにハードフォークをしよう、という提案さえしませんでした。セキュリティに穴のあるスマートコントラクトによって制御されていたものに対して、分別のない投資をしたユーザーが幾らかいるからといってハードフォークへ流れるのは、巨額のコインの所有権を与えられているから意見が通る、というような免罪符を生み利害が対立することになります」

 

この反対意見に対して、どうやらイーサリアム開発者でありDAOのキュレーターの一人でもあるAlex van de Sande氏からも同時の意見に賛成だとの意見が出ているようで、以前彼は、フォークの提案を好ましくないと公に発言しており、”このハードフォークによって返金しろ、という問題はいつだって起こる”のであって、”技術的に可能でさえあるのだから”やるべきではない、とその必要性を疑っていた人物でもある。

 

イーサリアムの未来を左右する決断

 

今回のこの事件は例外だと指摘する人もおり、コントラクトは”大きすぎて潰せない”ため、分散型の陪審員的役割を果たしているマイナーたちは、盗人の不当に入手した資産を拒否することも出来る状況だと指摘されている。陪審員であるマイナーがハッカーをさらにハッキングし、盗まれたものをさらに盗み返すような新たな被害がフォークによって生まないようにする抑止効果も生まれるかもしれない。

盗人による盗難を許してしまえば、1コイン辺り20ドルを超えてきたイーサリアムの信頼を大きく揺るがしかねない。彼らは驚くほどスムーズにセールを行い、無価値だったイーサーにはハッキング以前には時価総額16億ドル以上もの値段がついており、既存の企業から広くイーサリアムは取り扱いの対象となっていた。もしまた、暗号通貨は全く安全ではなく、簡単に盗まれてしまうなどという固定観念が世界に広まってしまえば、何もかもが深刻な状況に置かれてしまうに違いない。

しかしながら、イーサリアムコミュニティがどの道を選ぶのか、その未来の長い道のりを定義しなければならないことと、メインストリームに暗号通貨を浸透させるということは決定事項であり、簡単な決断ではない。