ポイント
・三角持ち合いをブレーク、9.8万ドル手前まで上昇
・アリゾナ知事は拒否権、フロリダは閉会、ニューハンプシャーで全米初のSBR誕生
・米中貿易交渉開始で今朝方急騰
・FOMCで据え置きは既定路線、QT追加緩和ならBTC買い
GW中のBTC市場
GW中のBTC市場は上昇基調を維持した。
先週木曜日に9.5万ドル(約1,365万円)台半ばで三角持ち合いを上抜けると、金曜日には9.8万ドル(約1,410万円)に迫った。週末は9.5万ドル台のレンジ上限がサポートとして機能したが、週明けに下抜けし、9.3万ドル(約1,335万円)台でダブルボトムを形成。今朝方には9.7万ドル(約1,395万円)台に値を戻している。
BTCは一目均衡表の雲や、史上最高値からの半値戻しとなる9.2万ドルを上抜け、トレンド転換を印象づけた。その後、水曜日からの指標ラッシュを控え、9.6万ドル手前で上昇が一服し、三角持ち合いを形成。
水曜日の第1四半期GDPが予想を大きく下回ると、リスクオフムードで9.2万ドル台に失速。ほぼ予想通りだったPCEコアデフレーターを受け下げ渋ると、中国からの「米国が貿易交渉を打診」との情報や、米ウクライナ資源協定の署名もあり、BTCは反発した。
さらに、米国の大手ウェルスマネジメントプラットフォーム(日本のネット証券に近い)モルガン・スタンレーが暗号資産のエクスポージャー提供を開始したことを受け、BTCは9.5万ドル台を回復。最大手のチャールズ・シュワブも12カ月以内に暗号資産現物の提供を開始すると報じられ、三角持ち合いを上抜けた。強めのISM製造業景気指数を受け、米株が上昇すると、BTCは9.7万ドル台に上値を伸ばした。
その後も、ストラテジー社がBTC購入のための資金調達予定額を従来の420億ドルから840億ドルに引き上げるなど、底堅く推移。強めの雇用統計を受け、6月利下げ期待が後退すると一時値を下げたが、中国が対米関税の一部を除外しているとの情報が好感され、9.8万ドルに迫った。
しかし、9連騰したS&P500の上昇が一服し、アリゾナ州のホッブス知事が戦略的ビットコイン準備(SBR)法案に拒否権を発動すると、BTCは上値を重くした。
週末はレジスタンスだった9.5万ドル台半ばがサポートとして機能したが、CME先物が窓を開けてオープンすると、トランプ大統領の「外国映画に関税を課す」との発言も重なり、9.3万ドル台に急落。
火曜朝方、一時9.5万ドル台に回復したが、フロリダ州議会がSBR法案を採決しないまま閉会すると、再び9.3万ドル台に失速。しかし同水準で下げ渋ると、ニューハンプシャー州で知事の署名が完了し、全米初のSBRが誕生。これを受け、BTCは9.5万ドル台に回復。ベッセント財務長官が今週中に中国と貿易協議を開始すると報じられると、BTCはダブルボトムを完成させ、9.7万ドル台に急騰した。
本日のBTC相場
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著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。