ポイント

・9.6万ドル手前まで戻り高値を更新

・対中貿易緩和とETFフローが相場を下支え

・今週後半はGDP、インフレ指標、ISM、雇用統計と指標ラッシュ

・GW中は上昇のアノマリーあり

週末のBTC市場

週末のBTC市場は底堅い展開となった。

木曜日に9.2万ドル(約1,315万円)を割り込んだがサポートされると、金曜日から土曜日未明にかけて9.6万ドル(約1,375万円)手前まで上昇した。週末は概ね9.4万ドル(約1,345万円)台で推移したが、今朝方9.3万ドル(約1,330万円)近辺に失速し、小幅な「行って来い」の展開となった。

BTCは7.4万ドルで反発後、8.6万ドル、8.9万ドルといった重要なレジスタンスを順次突破。先週火曜には、史上最高値10.9万ドルからの半値戻しとなる9.2万ドルも突破し、トレンド転換を印象づけた。

その後、金曜日のDeribitのオプション期日が近づく中、9.5万ドルのストライクに吸い寄せられては跳ね返される展開が続いた。

材料面では、対中貿易戦争の緩和が相場を下支えする一方、ウクライナ和平交渉の停滞が上値を抑えた。需給面では、ETFフローの回復が相場を支えた。

木曜日に中国が米中交渉を否定したことで一時9.2万ドルを割り込んだが、全値戻しのレジスタンスでサポートされ反発。FRB高官のハト派発言やトランプ大統領の対中接触発言もあり、じりじりと値を戻した。

17時のオプション期日を通過すると、相場の重しが外れたのか、BTCは9.5万ドル台に乗せた。さらに、ロイターが「中国が対米関税125%の一部を除外する」と報じたこともあり、9.6万ドル手前まで値を伸ばした。

しかし、買い戻しはCME先物の4月限の最終取引期限までで、その後は9.4万ドル台での取引が続いた。週末はバチカンでの弔問外交に注目が集まり、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談が話題となったが、和平交渉に目立った進展はなく、相場への影響は限定的だった。

日曜日から今朝方にかけて、ストラテジー社のセイラー会長がSNSで追加購入を示唆し、トランプ大統領が「関税収入で所得税を減税ないし撤廃できる」と投稿。また、SECがXRP先物ETFを承認したこともあり、9.4万ドル台半ばで強含んだ。しかし、CME先物が金曜日のクローズに届かず、小窓を開けてオープンすると、9.3万ドル近辺に弱含んだ。

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著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト

東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。