著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。
ポイント
・35,000ドル台半ばでサポートされ、今朝方37,000ドル台半ばに上伸
・米長期金利動向に振らされる、ETF関連ヘッドラインには反応薄
・順当なら感謝祭のホリデーシーズンを前にポジション調整売り
・アルゼンチン大統領選でミレイ勝利、8月予備選時にはペソ切り下げ、逃避フローも
昨日のBTC相場
週末のBTC相場は底堅い展開。
35,000ドル(約525万円)台半ばでサポートされると、週末は概ね36,000ドル(約540万円)台でのもみ合い推移を続けたが、今朝方37,000ドル(約555万円)台半ばに値を伸ばしている。
米つなぎ予算法案が上院を通過、政府閉鎖解除が確定的になったことやウォールマートが10月後半の消費減速に言及したことによるリスクオフなどもあり、先週木曜日から金曜日未明にかけてBTCは38,000ドル手前から35,000ドル台半ばまで失速した。
しかし、景気減速懸念から米10年債金利が4.3%台にまで低下する中、36,000ドル台に値を戻した。
その後、ビットワイズのETF申請再提出、フィデリティのETH 現物ETF申請、フランクリン・テンプルトンらのBTC現物ETF申請判断延期などETFに関するヘッドラインが続いたが、市場の反応は限定的だった。
デイリーSF連銀総裁やコリンズ・ボストン連銀総裁などFRB高官から利上げ打ち止め観測に警鐘を鳴らす発言が相次ぎ米長期金利が反発するとBTCは一時36,000ドルを割り込んだが、長期金利の上昇が一服すると36,000ドル台に値を戻した。
週末はワシントンポストがイスラエルとハマスが一部人質の解放と5日間の停戦で合意したと報じ、ホワイトハウスなどからまだ交渉中だが進展しているといった情報が続いたこともありBTCはじりじりと値を戻したが、木曜日から金曜日にかけての下落の半値戻しとなる36,000ドル台後半で上値を押さえられていた。
しかし、アルゼンチンの大統領選でペソ廃止派のミレイ氏が優勢(その後、勝利)となり急落が予想されるペソからの逃避需要が出るとの思惑もありBTCは前述のレジスタンスを上抜け、CME先物が窓を開けてオープンすると37,000ドル台半ば台まで上昇した。