ニューヨーク近代美術館(MoMA)で常設展示されるなど、世界的に著名な前衛芸術家のウラジミール・バラノフ・ロシネ氏(故人)の作品がNFTマーケットプレイス「Mintable」に出品されることがわかった。

ロシネ氏の作品は、1910年代にロシアで起こったクボ=フトゥリズム(立体未来主義)のもので、同氏の家族がデジタル化された10枚の絵画やデジタル化されたNFTの3作品、NFTと実際の絵画のハイブリッド作品を1点をオークションにかけることが予定されている。最高落札者には96年前に書かれたロシネ氏の原画が贈られるという。同氏は「オクタフォニック・ピアノ」など、音色とテクノロジーを融合させた作品などでも知られている。

Mintableのザック・バークスCEOは、Brave New Coinのポッドキャストで、バラノフ・ロシネ氏の孫へインタビューし、物理的な絵画と絵画をトークン化したオークションで最も注目される例になると主張している。

「これは歴史的なことだ。NFTはイーサリアム上で3年前から存在しているが、ウラジミール・バラノフ・ロシネ氏のようなレガシーな人物によるものはなかった」

一方で、Beepleの「Everydays」が6900万ドルという価格で落札されたことから、今回のオークションは、NFTコレクターと従来の美術品のコレクターの入札合戦になると、バークス氏は考えている。

批判者もコレクターになる

アート界では最近の仮想通貨業界からの進出を快く思っていない人もいる。デジタルやNFT作品は子供染みており、注目に値しないという。しかし、ロシネ氏の作品も元々は、評論家やメディアから酷評されていた。それが現在はMoMAの永久収蔵品になっている。

バークス氏は「もしロシネ氏が生きていたら、現在のNFTアートの革命に参加しているか」との問いに、ロシネ氏の孫はポジティブな返答をした。

「もちろんです。キャリアの中で絶対取り組んだでしょう。ブロックチェーンの面白さに惹かれていたでしょう。アーティストとして最も重要なことは、死んでいようが、生きていようが、自分の作品を多くの人に見てもらいたいと思うことです」

燃やされたバンクシー作品がNFTで蘇ったように、NFTでは、物理的な作品を破壊したり、マイクロチップなどで物理的な作品とデジタル作品を結びつける方法が取られている。しかし、バークス氏は、物理的な作品とゆるやかに関連したNFTを作成するだけで、事務処理や出所の記録を減らすことができるというメリットがあると考えている。

物理的な作品とNFTのハイブリッドなリリースも増えている。先週、イギリスの伝説的なアーティスト、ダミアン・ハーストが 「The Currency」と題したNFTプロジェクトをリリースすることが分かっている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン