カナダ拠点の物流企業ジオメトリック・エナジー・コーポレーションは9日、同社初の観測機器が2022年第一四半期にスペースXのファルコン9ロケットに乗って月に向かう可能性があるという。この観測機器はドージコインによって資金調達を行ったものだ。
観測機器の重量は40キログラムで、「通信・計算システムを備えた搭載センサーとカメラから月面空間の情報を得る」ことができるという。
ジオメトリック・エナジーでCEOを務めるサミュエル・リード氏は、「大規模な資金調達をドージコインで行なったことで、ジオメトリック・エナジー社とスペースX社は、DOGEを月面ビジネスの会計単位として確固たるものにした」と話した。
さらにスペースXの商業セールス担当バイスプレジデントを務めるトム・オチネロ氏は次のように述べた。
「今回のミッションは、地球軌道の外で仮想通貨を実験し、惑星間の商取引の基盤を築くためのものだ」
スペースXとジオメトリック・エナジーのいずれも、ドージコインがこの試みの資金にどのぐらい割り当てられたかを明示していない。調達資金は、観測機器の開発に一部使われたのか、月に持っていくのかは不明だ。
月面探査では、多額の費用がかかる。2019年に月面に軟着陸した最後の車両である中国の月探査計画「嫦娥(じょうが)4号」は、1200キロの着陸機と140キロのローバーを月に送るために、12億元(当時のレートで約1億7200万ドル)の費用をかけている。2013年に月周回衛星として打ち上げられたNASAの「Lunar Atmosphere and Dust Environment Explorer(ラディ)」は、観測機器の重量が49.6キロで、研究開発費を含めて約2億8000万ドル(1キロあたり560万ドル、打ち上げ時の質量は考慮されていない)の費用がかかった。
ジオメトリック・エナジーの観測機器が同じコストをかけたとすると、スペースXの設計の方がより効率的になっていると考えられるが、40キロの観測機器に約2億2580万ドル、記事執筆時点では3億8800万DOGE以上を支払う必要がある。これは、流通している1295億DOGEトークンの0.3%に相当する。
SpaceXの創業者であるイーロン・マスク氏はこれまでに、ドージコインが「文字通り」月に到達する最初の仮想通貨になると、ツイッターで繰り返し言及している。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン