機関投資家からのビットコイン(BTC)への関心が急速に加速しているようだ。仮想通貨(暗号資産)の追い風になるとの見方も出ている。

GBTC BTC Holding & Assets Under Management. Source: Cointelegraph, Grayscale.

出典: Cointelegraph, Grayscale.グレイスケールのビットコイン投資信託の運用額

価格が要因ではない

グレイスケールのビットコイン投資信託(GBTC)は、ビットコインを裏付けとする投資商品だが、過去数年で着実に成長している。ただし、ここ数か月の間に、その成長は加速し始めている。興味深いことに、原資産のBTC価格の値動きは、この成長パターンには影響を与えていないようだ。投資家のロックアップ期間が6ヶ月であることを考えると、理に適っているようにみえる。

Daily Change in GBTC BTC Holdings & BTC Price Change. Source: Cointelegraph, Grayscale.

出典: Cointelegraph, Grayscale. GBTCの成長とBTC価格の値動きの関係

ビットコインを呑み込むグレイスケール

GBTCへの投資の90%以上は機関投資家からのものだという。だが、GBTCの成長の重要な推進力となっているのは、それだけではない。

GBTCは、ビットコインの供給量を減少させている。GBTCのビットコインはコインベースで保管されているためだ。現時点で、GBTCは35万BTCを持ち、その分市場への供給量が減少している。これは、失われたコインの数を考慮しなければ、ビットコインの供給量の約2%に相当する。

Daily BTC Issuance & GBTC Consumption. Source: Cointelegraph, Grayscale.

出典: Cointelegraph, Grayscale.BTC発行量とGBTCの消費

2019年以降、GBTCは100,375.93 BTCを消費している。これは、この期間中にマイニングされたビットコインの17%に相当する。

GBTC 100-day BTC Acquisitions & Forecast. Source: Cointelegraph, Grayscale.

出典: Cointelegraph, Grayscale.GBTCの100日間のBTC獲得と予測

過去3ヶ月間、機関投資家がGBTCに投資するペースは3倍になった。この傾向が続く場合、さらに3ヶ月で40万BTCを保持し、その後さらに6ヶ月半で(2021年3月時点で)、約55万BTCを保持することになる。これは総供給量の約3%に相当する。

レンディングプラットフォームでも需要増

この傾向が半減期によって加速されたかどうかは明らかではないが、ほかの指標からも確認されている。現在55,000BTCを保有している仮想通貨レンディングプラットフォームのセルシウスのアレックス・マシンスキーCEOは、コインテレグラフに次のように語っている。

「現在、260を超える機関投資家の借り手がおり、ローンチ以来100億ドルのローンを完了した。BTCの価格は重要ではない。重要なのは、価格の上下の変動だ」

マシンスキー氏はまた、もしBTCをさらに持っていれば、10万BTCの貸付を簡単に行うことができるとのべている。セルシウスが年利5~12%の金利を求めているにも関わらずだ。

別の仮想通貨レンディングプラットフォームであるブロックファイのザック・プリンスCEOは、機関投資家の関心は今後も増加していくと予想している。プリンス氏はコインテレグラフに次のように語った。

「3月はじめの仮想通貨市場全体の急落の後、ほかのどの資産よりも早く回復できるようになった。3月16日から94%上昇し、さらに上昇し続けている。メインストリームの消費者での幅広い採用に伴い、今後数年間でこの資産に対する機関投資家の関心が急増すると予想している」

セルシウスやブロックファイは、グレースケールのようにビットコインの供給量を絞るわけではないため、直接価格を引き上げるわけではないことに注意が必要だろう。逆に、レンディングプラットフォームを通じて、市場の流動性を促す。

供給側の条件について考えれば、マイナーの再編がありえる。非効率的なマイナーがネットワークから排除されることで、生き残ったマイナーがより収益性が高まり、市場への売却量が減るようになる可能性がある。

パーフェクトストーム

ブロックウェア・ソリューションズのCEOで、ビットコインヘッジファンドを手掛けるマット・デスーザ氏は、コインテレグラフに次のように語った。

「ほとんどのファンドとホドラー、彼らは基本的にショートではない。彼らはロングだ。ほとんどのファンドはロングオンリーだ。2日前に仮想通貨ファンドのマルチコインと話し、先週にはブロックタワーとも話した。多くのファンドと話っているが、大部分がビットコインではロングオンリーだ」

中央銀行が何兆ドルものマネーを投入しており、さらに半減期によってビットコインの発行量が減少している。デスーザ氏は、この組み合わせが「パーフェクトストーム」を生み出すと信じている。

「(中央銀行が)2兆ドル注入している。おそらく彼らは経済の状態によってはさらに注入しなければならなくなるだろう。多くのマネーが注入される。そして、それはビットコインにパーフェクトストームを生み出すことになる」

ブルームバーグのアナリストであるマイク・マクローン氏は、メインストリームでの採用によって、近い将来にビットコインの取引ファンド、もしくは上場投資信託(ETF)の承認になると考えている。

「先物の建玉はメインストリームでの採用が増加していることを示しており、米国の取引所でETF先物の可能性も出てくるだろう」

この傾向が続く場合、ビットコインの価格が今後12~18ヶ月で上昇する可能性があるだろう。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン