香港政府がブロックチェーンを利用した不動産ソリューションに着目

香港は世界で最も重要な金融センターの1つだが、土地が限られている上に需要も高いため、香港における不動産の数は常に不足している現状がある。

それゆえ、香港における土地所有権管理の簡略化は、香港政府の最優先の懸念事項であり、ここ数年間、手頃な価格で簡単に土地権利が譲渡できるよう数々の措置が講じられてきた。

日経エイジアンレビューは、11月初めに、高騰している香港の不動産市場の過熱抑制の目的で、印紙税の引き上げを香港政府が提起したと伝えている。

今回の政府による措置は、主に住宅価格を高騰させる原因となっていた香港居住者以外の人が対象となったようだ。

現在、香港政府は、香港居住者が住宅ローンを手軽に利用できるようビットコインの基盤技術であるブロックチェーンの可能性に着目している

 

ブロックチェーン導入によるプロセスの簡素化

 

香港通貨当局と、香港応用化学技術研究所が発行したプルーフ・オブ・コンセプトのレポートでは、分散型元帳技術 ( DLT) に関連した問題―主にブロックチェーン―が取り上げられており、香港のフィンテック産業における利点、リスク、キー・フィーチャー、ブロックチェーンの可能性などについて研究を行うなどの内容が記載されている。

同レポートでは、住宅ローンの融資申請や、貿易金融、デジタルID管理などの分野におけるDLTの可能性について着目している。特に興味深いのは、住宅ローンの融資申請におけるプロセスで、DLTを応用して手続きが簡素化できるのではないかという点について記載されている点だ―”銀行は、良い信用の決定を行うために、土地の推定価格に関して迅速に正確な情報を入手することが必要とされる。しかしながら、銀行、法的機関、評価会社の間の連絡手段は、依然として書面によるものが大多数であり、(時として) エラーが起こりやすいプロセスに基づくものが多い。したがって、上記に挙げたような三者を結ぶDLTによるネットワークであれば、デジタル化された評価レポートや法的文書のコピーを確実に共有し、財産所有権の譲渡を迅速に行うなど、有用に機能する可能性があり、時間や取引コストの削減に繋がる可能性が高い”

 

香港で想定される住宅ローンの未来

 

現時点で物件を購入する際には、通常、売買契約に署名した後、A者からB者に物件が販売され、B者が銀行と住宅ローンの契約をし、確定日に販売者の銀行口座に入金が行われ、その後、土地の所有権の変更が登記簿に記録される。実際には、さらに多くの人々が関わっており、通常であれば測量士や土地鑑定士が雇われ、物件の価格を査定し、法的な契約を結ぶために弁護士が雇われる場合もある。将来的に、すべての土地権利に関連する情報が登録されている、この土地登記簿登録のデータベースが鍵になってくる可能性は大きい。

DLTによって様々な人間が情報にアクセスできるようになり、売り手のデジタル署名が売買を成立させるために必要になってくるだろう。情報は分散型ノードに保管され、取引は銀行によって行われ、全てのノードへとDLTを通じて取引記録が送信される。そして、そのデータの検証はブロックチェーンが行うのだ。

レポートでは―”どのノードにもローカルに元帳のコピーが保存されており、土地登記簿における取引の記録の履歴が全て完璧に保存されてるため、ノードが自身のチェーンのチェックを行い、取引の整合性を確認するために取引の履歴を確認することが可能になる”ことが想定されている。決済自体もブロックチェーン上で行えるようになるだろう。

 

ブロックチェーン上で住宅ローンを組むメリット

 

レポートでは、DLTシステムにおける数々の利点が強調して取り上げられている。DLTが改ざん防止の機能を果たすからだ。また、香港政府は、DLTが不変で透明性が高く、ブロックチェーン上にスマートコントラクトが展開できる可能性についても認めている形だ。

レポートでは、最後に次のように結論付けられている―”DLTのシステムは、この章で取り上げてきた同技術の主要な強みに基づき、銀行セクターと決済産業に対して、確実に新しい可能性と生産性をもたらすだろう。これらには、分散型システムで”トラスト”を確立する機能性と、スピーディ且つ、セキュアに情報を配信する効率性、取引の記録と履歴の完全なトレーサビリティの実現、運用コストの削減の可能性、そして高い回復力を誇るポテンシャルなど、前述した全てが含まれる”

 

しかしながら、肝心な問題として、ガバナンスと規制の問題は残る。次回のレポートは、ブロックチェーンの法的側面に焦点を当て、プルーフ・オブ・コンセプトの内容のアップデートも含めた上でのリリースとなるだろう。