ブロックチェーン分析プラットフォームのアーカム・インテリジェンスによれば、グレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)は1月12日、コインベース・プライムの預金ウォレットに894ビットコイン(送金時点で4100万ドル相当)を移動した。
GBTCが承認された参加者によるビットコインの償還を開始した翌日にこの動きがあった。一部のX(旧ツイッター)アカウントでは、GBTCの償還がビットコイン価格の下落の原因であると推測されたが、これまでのところトラストの総資産に占める償還額はわずかだ。コインベースへの4100万ドルの流出に加えて、他にも1億1900万ドルが過去の履歴のないウォレットに送金されている。

グレースケール・ビットコイン・トラストはビットコイン(BTC)の最大の単一保有者の1つとされている。アーカムは9月6日のソーシャルメディア投稿で、GBTCが160億ドル以上のビットコインを保有していると指摘している。アーカムの現在のデータによると、ビットコインの価格がここ数ヶ月で上昇したことから、トラストの保有額は270億ドルと推定される。
GBTCの株式は2013年から取引されているが、1月11日まではビットコインと交換することはできなかった。株式の償還不可のため、しばしば純資産価値(NAV)よりも大幅に割引された価格で取引されてきた。例えば10月には、GBTCの株式は、それが表すビットコインの額に比べて16%割安だった。
1月12日、複数のビットコインETFが取引を開始した翌日、アーカム・インテリジェンスのデータによると、GBTCはコインベースに1回の取引で894BTCを、他のウォレットには3回の別々の取引で2607BTCを送金した。コインベースに送られた額は総額4100万ドルで、GBTCの総保有額の約0.15%に相当し、残りのウォレットへの流出は1億1900万ドル、0.44%に相当する。
これらの流出が発生した同じ日に、ビットコインの価格は突然の下落を見せ、約4万6000ドルからUTC午後6時47分にはわずかに4万3000ドルを超えるまで下がった。この下落は4万4740ドルの強いサポートを破る結果となった。
アーカムが示した流出額は少額にもかかわらず、Xのユーザーの中には、GBTCの株式の償還により、これらの株式の保有者がついに現金化する機会を得たために下落が引き起こされたのではないかと推測する者もいた。
CNBCの「クリプト・トレーダー」のホスト、ラン・ヌーナー氏もこの理論に同意し、Xに「ビットコインの価格が下がっているのは、人々がGBTCの株式を売り払っているからだ」と投稿した。
Bitcoin Price is dumping as people are dumping their GBTC shares.
— Ran Neuner (@cryptomanran) January 12, 2024
GBTC held $25bn+ worth of Bitcoin that has been locked up for years with no option to be sold. As soon as the redemption option opened, for the first time people are starting to exit - as they exit the Bitcoin… pic.twitter.com/EqHgpHyVdd
ヌーナー氏はその投稿で、ビットコインは「しばらくの間、売り圧力を見るかもしれない」と警告し、「250億ドルという数字は大きな数字であり、たとえ20%だけが償還されたとしても、市場での売りは50億ドルになる」と指摘した。
グレースケールは公にウォレットのアドレスを明かしたことはない。そのため、アーカムがトラストに属するウォレットを誤認している可能性があり、その場合、流出額はアーカムのデータが示すものと違う可能性もある。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン