オンチェーン分析企業グラスノードによれば、イーサリアム(ETH)の価格が5月14日に2700ドルへと急騰し、実現価格(平均取得コスト)を上回った。これにより、ETH保有者の多くが再び含み益の状態に戻った。

実現価格を超える動き、強気相場入りを示唆

トレーディングビューのデータによると、ETHは5月7日の1800ドルから5月14日には2700ドルに達し、わずか1週間で52%以上の上昇を記録した。これはペクトラ(Pectra)アップグレードへの期待感によって支えられたとされる。

この上昇によって、ETHは実現価格(現在は約1900ドル)を突破し、3000ドルを目指す次の上昇余地が開かれた格好となった。

グラスノードは最新レポートの中で、「保有者が含み損から含み益へと転じることは、心理的な安心感とともに、市場に対して強気な見通しを示すシグナルになる」と分析している。

歴史的に見ても、ラリーの初期段階では含み益を得た投資家が保有を続け、新たな参加者を引き寄せることで相場に上昇圧力を与える傾向がある。

さらに、アクティブ投資家のコストベースである「アクティブ・インベスター・プライス」が2400ドルに位置しており、これを上回ったことが「新たな資金流入が生じている証左」だとグラスノードは述べている。

Ethereum: Key pricing levels. Source: Glassnode

とはいえ、ETHは現在もアクティブ実現価格の約2900ドルを下回っており、これは投資家の信頼をさらに押し上げるために「明確に回復されるべき重要水準」とされている。

「2400〜2900ドルのレンジは、イーサリアムにとってレジスタンスとブレイクアウトの境界線を兼ねており、上昇を維持するには極めて重要なゾーンである」とグラスノードは述べている。

トレーダーのダーン・クリプト・トレード氏も、ETHが「2400〜2600ドルのレンジを明確に突破しない限りは様子見」としており、2800〜2850ドルの高時間軸レジスタンスとの対決を見据えるためにもレンジ上抜けが必要だと指摘している。

ETH/USD four-hour chart. Source: Daan Crypto Trades

売り圧力の潜むゾーン、2700ドル台後半に注意

オンチェーンデータによると、平均取得価格2767ドルで約227万ETHが保有されており、この水準は「多くの投資家が損益分岐点で売却する可能性があるレジスタンスゾーン」とされている。

Ethereum cost basis distribution chart. Source: Glassnode

テクニカル的には、ETHが3000ドルを上抜けてサポートへと転換しない限り、4000ドル以上の上昇は視野に入らない。

その前提として、ETH/USDペアは2600〜2800ドルの価格帯での終値を形成する必要があり、現在このレンジには50日間・100日間単純移動平均線が集中している。2月にはトランプ前大統領による関税政策の影響でこのゾーンを下抜けており、今回は回復局面にある。

ETH/USD weekly chart. Source: Cointelegraph/TradingView

強気派にとっての好材料としては、イーサリアム上場投資信託(ETF)からの需要が挙げられる。ファーサイド・インベスターズによれば、過去3日間でイーサリアムETFには合計1億70万ドルの純資金が流入している。

一方、弱気派は2600ドルのレジスタンス維持を試み、価格を2400ドル以下へ引き戻すことを狙っている。200日間移動平均線もこの水準に位置しており、下方ブレイクの重要指標となっている。

仮に2400ドルを下回った場合、次なる注目エリアは2200ドルから心理的節目である2000ドルとなり、1800ドルまで下落すればペクトラアップグレード後の上昇分はすべて帳消しになる。

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。

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