分散型金融(DeFi)を巡るイールドファーミングブームがとてつもなく過熱しているようだ。「Sushi」や「Kimuchi」といった食品の名前が付いたDeFiミームプロジェクトが相次いでいる中、その1つである「Hotdog」がリリースされてから数時間後にクラッシュした。

イールドファーミングとは、DeFiプロトコルに仮想通貨(暗号資産)を預けることで、そこから金利やDeFiトークンを受け取ることだ。

「Hotdog」と呼ばれる新たなクローンDeFiプロトコルは、流動性プロバイダーを誘引するために最大100万%の年間利回り(APY)を約束していた。Hotdogは、人気があるトークスワップ・プラットフォームであるUniswapのドッペルゲルガ―の1つであり、最近ローンチされたSushiやKimuchiと同じ軌跡をたどっている。

Uniswapの分析ダッシュボードであるUniswap.infoによると、HotdogSwapは9月2日にローンチした。ほとんど流動性のないトークンが提供されたが、そのトークンが5000ドルを超える急騰を見せた。しかし、HotdogSwapダッシュボードによると、このトークンは記事執筆時点で0.0332ドルとなっている。

 

出典: hotdogswap.org

 

出典: Uniswap.info

Redditでの投稿をみると、トークンはわずか5分間で4000ドルから1ドルまでクラッシュした様子が示されている。ツイッターでも「lowstrife」や「Ivan on Tech」といったユーザーが、この巨大なクラッシュについて投稿している。

トレーダーのエドワード・モラ氏は、このクラッシュをBitconnectの事例(1日で90%暴落した仮想通貨プロジェクト)よりも酷いと指摘。過去24時間にわたって急落したほかのDeFiトークンの例も投稿している。

Sushiと同様、Hotdogは流動性プロバイダーがUniswap流動性プールトークンを入金すると、HOTDOGトークンを取得できるようになっていた。

このイールドファーミングの過熱状態は、YAM Financeが1つのきっかけとなった。これにより、Uniswapなどの既存のDeFiプロトコルをコピーする動きが堰を切ったようになり、独自のWebサイトを開始して、報酬として提供される食品の名前を冠したミームトークンが生成されている。

誰でもUniswapにトークンをリストすることができるため、新しいトークンといくらかのイーサ(ETH)によって初期流動性を提供することで、そこに市場が作られることになる。仮想通貨業界専門家のカミーラ・ルッソ氏は、最新のニュースレターの中で、次のように指摘している。

「トークンに対するETHの供給をコントロールすることで、流動性が非常に低いトークンの価格を高騰させることもできる」

新しい、信じられないような利息を提供するプロジェクトに群がるDeFiトレーダーは、退廃農家(Degenerate Farmers)と呼ばれている。彼らは最初にトークンの価格を引き上げ、それがまた利回りを押し上げる。Hotdogaのケースのように、すぐにキャッシュアウトすれば、膨大な利益を得ることができる。多くの人々は、このような動きはポンジスキーム(ねずみ講)や市場操作と変わらないと指摘している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン