v.systems(VSYS)のチーフ・アーキテクト、サニー・キング(Sunny King)氏によると、ブロックチェーン対応の分散型ネットワーク基盤「Tachyon(タキオン)」プロトコルを利用する分散型VPN(仮想プライベート・ネットワーク)において、ユーザー数が10万人(2020年4月時点)に到達したという。

キング氏は4月25日、コインテレグラフへのメールで「Tachyonは、オープン・パイロット・テストを開始した」と明かした。「段階的に機能を導入している」という。

「今月、Tachyon VPNのユーザーが世界で10万人に到達したことをうれしく思っている。最終的には、VPNを介して利用可能な世界規模のマーケットプレイスが実現すると信じている」

キング氏は、スコット・ナダル(Scott Nadal)氏とともに、コンセンサスアルゴリズム「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」の概念をまとめ上げ、提示した人物として知られている。2012年8月発表のホワイトペーパー「PPcoin:プルーフ・オブ・ステーク基盤のP2P仮想通貨」(日本語版)でも用いている氏名「サニー・キング」は仮名で、個人的な情報は伏せられている。

なおイーサリアム共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は、当時運営していたメディアでホワイトペーパーを解説したほか、「最も独創的なアルトコイン開発者」と高く評価していた。

Tachyonは、ブロックチェーンを支える下部ネットワーク構造となるか

Tachyonは、分散化と暗号化技術を組み合わせたブロックチェーン対応のネットワーク・スタックだ(ホワイトペーパーを2019年9月に公開)。(ブロックチェーンのようなアプリケーション層を支える下部構造・インフラにあたる)インターネット・プロトコルとして、VPN、IoT(モノのインターネット)、DeFi(分散型金融)、ストレージ、CDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)、DNSなどに利用することを想定しているという。

分散構造、エンド・ツー・エンドの暗号化、トラフィック隠蔽、同時マルチパス・ルーティング、マルチリレー方式により、TCP/IPスタックを再構築するものとして設計しているそうだ。

キング氏によると、同氏はTachyon開発初期にその立ち上げを手伝っていたそうで、「Tachyonは、VSYSが可能にしたエコシステムを支える主要プロジェクト」だという。

キング氏は「Tachyonは、VPNサービスのマーケットプレイスとして設計されている」と説明した。「サービスプロバイダーとユーザーが、高度に分散化されたVPNマーケットプレイスに参加するために必要なインフラを構築する」そうだ。

Tachyonとv.systems

キング氏によると、VPNに関する知識・業績を持つチームメンバーを擁するTachyonは、高いレベルのプライバシー保護とセキュリティ向上のため、分散化技術を活用しようとしているそうだ。

一方VSYSは、クラウドとデータベース技術を活用しブロックチェーンの機能拡大を目指しているという。Tachyonはこれを高く評価しており、VSYSのブロックチェーン上にソリューションを構築し、共同作業を行っているそうだ。

キング氏は「私を含むVSYSのチームは、Tachyonにブロックチェーン・インフラ、技術サービス、ソリューションを提供しており、今後も提供し続ける」と述べた。


翻訳・編集 コインテレグラフジャパン