2013年に創設された中国企業BitKanが、海外市場を狙いOTC取引の機能を自社のアプリに導入した。この機能は既に中国で使われており人気がある。

結果としてシリーズAでBitmanから200万ドルの資金調達に成功している。

 

OTC取引機能の追加

 

4月、BitKanは中国のビットコインマイニングハードウェア企業BitmainからシリーズAで200万ドルの資金調達に成功し、5月にはOTC取引機能を自社のアプリでローンチする予定だ。OTC取引は通常の取引所での取引と異なり、取引所からの監査なしに直接ユーザー間で取引が行える。

 

「BitKanのOTCはプラットフォームレベルでのトレードマッチングをベースにしています。BitKanのユーザーには2種類のユーザーが存在します―1つは、”トレーダー”、そしてもう1つは”一般ユーザー”です。”トレーダー”は、フィアット対ビットコインのペアを取り扱う取引所で、”一般ユーザー”は取引所のクライアントとみなすことができます。一般ユーザーはフィアットをビットコイン取引に利用することが出来ますし、その逆も可能です。

取引の際、システムが一般ユーザーを相応しい”トレーダー”とマッチングします。”トレーダー”は予め取引戦略を立て、クライアントが現れるのを待つ形になります。BitKanは、各地の法律や規制に基いて、KYCによるチェックを”トレーダー”と”一般ユーザー”に対して行います。”ブローカー”に対しては、彼らがきちんとより良いサービスを”一般ユーザー”に提供しているかまた別のチェックが入ります」

 

しかしながら、KYCやAMLなどによる過剰な情報提供を懸念している人々に対して、BitKanは、法律や規制に則る一方、そういった手続きを簡素化し、少額取引における手続きの障害を最小限に抑えてできる限りユーザーフレンドリーなサービスとして提供するとしている。

ローンチしてからまだ1ヶ月も経っていないが、1日の取引ボリュームは100万ドルを定期的に上回っているとBitKanは伝えている。

今のところ人民元ベースのマーケット情報を元に運営データが発表されていたが、7月4日には初めて米国ドルベースの取引が開始される。

BitKanはOTCを自社のアプリに組み込んだ動機として、人々にビットコインをより便利な形で保管したり利用したりしてほしい、と伝えている。

 

オフチェーントランザクション

 

BitKanは全てのOTCによるトランザクションをオフチェーンで記録している。これはセラーがビットコインをBitKanのプラットフォームに”チャージ”する必要があるということである。BitKan創設者、Edward Liu氏は、これはセキュリティ上の懸念から実装した機能だと語っている―

 

「BitKanは100%積立のメカニズムを採用しています。弊社のこのメカニズムを顕在化させるという意味では、”Merkle的アプローチ”や、機能的なチェーン、そしてオフチェーンなどいくつかのソリューションが存在しますが、これらには欠陥があります。弊社は総合的に考え様々なソリューションを統合し、ユーザーやプラットフォームも同様にプライバシーを守ることができる使いやすいソリューションを採用していきます」

 

BitKanは高速のトランザクション速度が魅力である点を引き合いに出し、然るべきタイミングでLightning Networkにも参加する可能性も示唆している。

 

市場の競合

 

BitKanは顧客へOTC取引を提供する市場における唯一の企業では全くない。しかし、Liu氏は、BitKanはLocalBitcoinsのような定評のある競合企業よりも有利であると語る―

 

「LocalBitcoinsはOTC取引におけるビッグプレーヤーの一つと成り得るかもしれません。しかしユーサビリティの問題により一般ユーザーは取り残されてしまう可能性があります。弊社は何人かの初心者に対してBitKanのクローズドベータバージョンを利用してもらいました。すると簡単且つ迅速に取引を行うことが出来たのです。3~5分もあれば新たに利用する一般的なユーザーでもアカウントを作り取引を開始することができます。使い方を理解するまでの時間を大幅に削減する結果となったのです。くわえて、LBCの手数料は1%ですが、BitKanのプロモーションによれば0.1%、LBCの10分の1の価格でサービスを提供しています」

 

BitKanアプリ

 

OTC取引の導入以前、BitKanアプリは既に数々の市場の投機家が十分、且つ効率的に取引ができるような様々な機能を実装しており、リアルタイム相場や、企業ニュースの取得、取引、マイニング、そしてソーシャルメディア上での報酬キャンペーンなど様々だ。

今回アップデートが行われることでユーザーは取引したい個人ブローカーを探すことが出来る。それにもかかわらず、BitKanはデフォルトで多くのユーザーが必要とする機能を提供するべきだとしている。

BitKanは中国国内の暗号通貨コミュニティではかなりの人気を誇っており、AndroidやiOSのアプリとして世界中で利用可能だ。