ブロックチェーンは以前のテクノロジーでは考えられない全く新しい方法でデータのセキュリティを確保している

テクノロジーと聞いて、基本的なその役割や機能については知っている人はいるだろう。しかし、ユーザーの多くはその深くまで理解しようと興味は滅多に示さない。

例えば、Eメールを送るにしても、送ったデータは、転送が失敗しない限り受信者に届くことは皆が知っているし、わかりやすい"再送信"のボタンをクリックすれば、送信した場合でも問題が解決できることを皆理解している。しかし、どれだけの人が様々なプロトコルやそこに内包されているテクノロジーについて知っているだろうか?

似たようなことがブロックチェーンにも言える。ブロックチェーン上のデータは不変で透明性が高く、その全てのシステムにおいてハッキングすることがとても難しいということは皆が知っている。しかしどれだけの人が、何故ブロックチェーンがそこまで堅牢なセキュリティを誇っているのか、その理由を知っているだろうか?

今日の世界において、サイバー攻撃の数が着々と増え続けており、利用者のデータはデジタルで管理されているためセキュリティは最も重要だ。ではまずは、ブロックチェーンの利用が如何にデータの保存において非常に素晴らしい選択肢の一つであるか、その説明からしていこう。

完全に信用できるトラストレスなシステム

ブロックチェーンをセキュアなものにしている最も特筆すべき特長は、完全にトラストレスなシステムに基づいているということだ。ブロックチェーン上のデータの読み書きするためのパーミッションはネットワーク上のユーザー全員に平等に分散されている。決定権において、誰一人として特権を渡されてはいない。

ブロックチェーン以前では、まさに信用が不可欠で、それなしのリアルタイムでの情報共有は不可能だった。

ブロックチェーンの出現によって、分散合意の有名な問題として知られる"ビザンチン将軍問題"が首尾よく解決された。複数の部隊に命令を送る"将軍"が、1つの街に攻撃をしかける場合を想定してみよう。もし全ての部隊が同時に攻撃をしかければ、彼らは勝利することが出来るだろう。しかしいずれかの部隊が失敗、もしくは退却してしまえば、この攻撃は失敗してしまう。

将軍によって送られたメッセンジャーは、指令を将軍の命令の元、部隊全てに命令を届ける必要がある。ではここでメッセージを受け取った部隊参の将軍、裏切り者の将軍"X"が現れたとして、彼が将軍からの指令の改ざんを試みたとしよう。2人の将軍は将軍から指令を受け取るが、これは"X"が改ざんしたものである。そして結果的に部隊同士の連携が上手く行かず、攻撃は失敗してしまう。

"プルーフ・オブ・ワーク"という概念を導入することで、ブロックチェーンは上手にこの問題を解決している。これは、指令を送る者が既に送られた全ての指令の履歴を添付し、10分に固定された同じ時間を同時に費やすことで可能となっている。

"同じ時間を同時に費やす"というその目的は、指令の送信者が指令を書く際に費やす時間の確保と、悪意のあるデータや不正なデータの特定を容易にするということにある。

ブロックチェーンは悪意のあるデータや不正なデータの特定を容易にする

ビザンチン将軍問題におけるとても簡単な基本的な一例としては、各将軍が指令を確認して次の将軍に送る前に1~500文字の数字を記入する必要があるような状況を考えてもらうといい。それだけの数字を書くにはある程度の時間がかかるのは明白だが、承認するだけなら迅速かつ簡単に終わるはずだ。

以上のことを踏まえてまた考えてみよう。各将軍がその指令を書くのに費やす時間は10分に固定、その間に"X"はその指令を改ざんする必要があり、彼が改ざんする前に、他の将軍たちはメッセージに署名しなければならない。何故なら、"プルーフ・オブ・ワーク"にはアップロードされた全ての指令の履歴が必要だからだ。

さて、"X"がこの指令の改ざんを成功させるためには、彼自身の持ち時間である10分に加えて、さらに20分の処理時間が必要となる、合計で30分、彼に割当てられた10分だけでこの全てをこなさなければならない。

このような方法を用いることで、例え"X"が正しくない指令を出したとしても、実証されたデータを変更することは事実上不可能にしている。残りの将軍たちはこの改ざんされたデータを無視し、大半の将軍によって承認されたデータに従うだけで良い。

分散型であることによる恩恵

ブロックチェーンの分散型構造によって、セキュリティにも恩恵がもたらされる。特定のユーザーや組織が、単独でデータベースを操作する特権を得ることは1人として出来ない。分散設計のため、単一障害点は存在しないのだ。ブロックチェーンネットワークに接続されたデバイスの何台かが完全に障害を起こしたり、電源を失ったとしても、ブロックチェーンデータベース全体やその一部に対して全く何の影響も及ぼさない。これは全てのブロックチェーンネットワークに分散してデータが保存されているためだ。

ブロックチェーンは分散型であるため、政府はコントロールすることが出来ない。

政府の介入によって、例えばウェブサイトが規則や規律に従っていないとして閉鎖に追い込まれたりすることはよくある。最近ではTorrentz.euという検索エンジンが最も有名な一例だろう。

現在、トレントはこの規模の分散型システムに最も近いものだ。

ブロックチェーンによるプライバシーの確保

また、ブロックチェーン上に保管されたデータは、公開鍵暗号方式により暗号化され守られている。暗号化技術は、ネットワークを介したデータの送受信において擬似的な匿名性を保つことが可能なため、ユーザーはプライバシーを確保することができる。

分散型アーキテクチャと暗号化プログラムがその設計に用いられているため、こういったシステムをハッキングするには各ノード上に保管されたデータがデータベース全体と正しく同期されたタイミングで行わなければならず、その費用は莫大なものになり、数学的に見てもブロックチェーンネットワークのハッキングは非常に難しい。

ブロックチェーンを利用した半永久データ保管

以上のような特徴から、ブロックチェーンはデータの損失のリスクを負わずにデータを管理したいと願うユーザーにとって実用的な選択肢といえるだろう。ブロックチェーンに保存されたデータは常にそこに在り続け、どのような方法をもってしても編集することも改ざんすることも出来ない。新しいデータや更新データが後にブロックチェーンに追加されるのみだ。ブロックチェーンによってもたらされる多彩で高度な特色をもったそのセキュリティの素晴らしさに気づいた多くの企業が、ブロックチェーンを基盤にしたアプリケーションのリサーチや開発に多額の出資をし始めている。

企業は、フィンテックとそうでないもの、我々のデジタルなデータ保管の考え方を全く新しいものに変えるこの素晴らしいテクノロジーを利用した両方のアプリケーション開発に勤しみ、ブロックチェーンは今静かに我々の生活の中に溶け込み始めている。

                         筆: Darwn Labs CSO兼共同創設者 Nikunj Jain

* Darwin Labsはブロックチェーンや、ヴァーチャル・リアリティ、人工知能におけるインフラやアプリケーションの構築を行っている。


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