ビットコイン上場投資信託(ETF)への関心や次回の半減期イベントにもかかわらず、ビットコイン・オーディナルズのインスクリプションは勢いを失いつつある。

NFTデータ集計サービスCryptoSlamによると、月間オーディナルズの売上高は1月に3億3500万ドルに落ち込み、オーディナルズ史上最高売上高を記録した12月の8億6800万ドルから61%減少した。オーディナルズはビットコインネットワーク上で発行された最初の非代替性トークン(NFT)だ。

ブロックチェーン専門家であり『NFT: From Zero to Hero』の著者であるアンディ・リアン氏は、オーディナルズの売上減少の主な原因は、NFT市場の飽和状況と他のブロックチェーンからのコレクションによるものだと述べている。

「新しいプロジェクトやアーティストがこの分野に流入し、購入者は多くの選択肢に直面している。特にソラナなど他のブロックチェーンが勢いを増す中で、選択肢の豊富さが顕著になった」とリアン氏はコインテレグラフに語った。

一方、イーサリアムの月間NFT売上も2.2%減の3億5500万ドルに減少したが、アバランチ上のNFT売上は89%増の4670万ドルに上昇し、12月の2470万ドルから増加した。

OpenSeaのDokyo NFTコレクション  Source: OpenSea

OpenSea.ioの情報によると、ドーキョー(Dokyo)NFTコレクションがアバランチでのNFT売上の大部分(67%)を占め、1月に3140万ドルの売上を生み出した。ドーキョーは12月には764万ドルの売上にとどまっていた。ドーキョーは、匿名クリエイター0xBrandoによって発売された5555個のNFTコレクションだ。

ドーキョーNFTの売上は11月に急増し始め、11月24日には一時的に全ブロックチェーンを通じて最も取引されたNFTコレクションとなり、ボード・エイプ・ヨット・クラブの売上を超えた。さらに、CryptoSlamのデータによると、1月15日には売上ランキングのトップに登りつめた。

競合するNFTコレクションに加えて、リアン氏はオーディナルズの売上がビットコインコミュニティ内での論争的な地位と技術的な複雑さによっても影響を受けたと考えている。

「オーディナルズの導入はビットコインコミュニティ内で論争を引き起こしており、その活動をスパムメールに例える者もいる。これがオーディナルズの評判やビットコイン愛好家の間での正当性に影響を与えた可能性がある」と彼は指摘する。

一方で、Web3ゲーミングエンジンPaima Studiosの共同創設者であるセバスチャン・ギロモ氏は、オーディナルズからの関心がビットコインのレイヤー2ソリューションに移行していると述べている。ギロモ氏は次のように語った。「オーディナルズに取り組んでいた多くの人々がビットコインのレイヤー2に転向しており、特にBitVMやOP_CATをめぐるハイプを考えると、開発者や投資家がこの物語に移行していることに驚かない」。

売上の減少にもかかわらず、オーディナルズのインスクリプション数は増加を続けている。Duneのデータによると、ビットコインネットワーク上には5900万以上のオーディナルのインスクリプションが存在する。

半減期がオーディナルズへの関心を再燃させるか?

売上の減少と同様に、オーディナルズの平均販売価格も1月には25%減の1340ドルに下がり、12月の1793ドルから減少した。しかしながら、世界最大の仮想通貨取引所であるバイナンスは2月1日にオーディナルズ市場の立ち上げを発表するなど、大手仮想通貨企業の関心は続いている。

リアン氏は、今後のビットコインの半減期がオーディナルズへの関心を再び高めると予想している。「ビットコインの供給が減少することで、各サトシの価値と希少性が高まり、オーディナルズをユニークで収集可能な資産としての魅力を増す可能性がある。さらに、半減期はビットコインネットワーク上の取引手数料を押し上げ、マイナーがオーディナルズの取引を処理し、ネットワークを確保するインセンティブとなるだろう」と彼は主張する。

2月1日に公開された「State of Crypto」レポートの第11版で、世界最大の仮想通貨上場投資信託(ETF)プロバイダーである21シェアーズは、オーディナルズがビットコインにさらなるユースケースを提供する可能性があると記している。「私たちは、オーディナルズやBRC-20トークンのような革新がビットコインへの需要を高め、ネットワーク上のユースケースを拡大することを期待している」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン