ビットコイン(BTC)開発者であるジミー・ソン氏が26日、ローラ・シン氏との対談の中で、企業などの非公開で中央集権化されたシステムにおけるブロックチェーン技術の利用は「無意味」だと主張した。

 ブロックチェーン・キャピタルのベンチャーパートナーでもあるソン氏は、ポッドキャストのアンチェインドで、パクソスでの2年間の企業向けプライベート・ブロックチェーン設計者としての自らの仕事について語り、プライベート・ブロックチェーンの仕事を成し遂げることが「出来なかった」と述べた。

「毎回同じ状況に立ち戻った。ブロックチェーンが無意味となる、ある根本的な失敗点を知らなければならない〔…〕私は懸命に努力した〔…〕その仕事を成し遂げるために。そして大部分を中央集権化する以外の方法を見つけることができなかった。その時点でほとんど無意味だ」

 ソン氏はさらに、ブロックチェーンの連合システムの違いを説明し、ブロックストリームや、IBMのハイパーレジャーや、コルダのような他の企業向けプライベート・ブロックチェーンに言及した。ソン氏が言うには、この技術の有効性を妨げている2つの問題がある。「神託(オラクル)問題(と)レギュレーター問題」だ。

 ソン氏は、現実世界の資産とブロックチェーンが結びつけられた際に「神託問題」がどのように生じるのかを説明した。

「一旦そうすれば、例えば金庫室の中にある金の延棒から得られる多くの保護が失われることになる。例えば誰かがそのトークンを盗んだ場合、その金の延棒は誰のものだ?」

 ソン氏の言う「レギュレーター問題」とは、ブロックチェーン(特に非公開の連合チェーン)への「直接アクセス権」をレギュレーターが持つ必要性に関係したものだ。

 ソン氏はハイパーレジャー・プラットフォームを中央集権化問題の例として挙げ、その「オーダリング・サービス」が実際にどのようにして、ブロックチェーンに加えるトランザクションを決める中核となっているかを説明した。

「実際これは非常に強力な中央機関だ〔…〕彼らがオーダーを決めるが、私にとってはそれがほぼ失敗の核心だ」

ソン氏は、ブロックチェーン技術を採用している企業の背景にある経済的側面も持ち出し、企業は利益を得るためにシステムの中央管理を必要としているとも主張した。

「あなたは自分への代金の支払いを正当化する必要がある〔…〕もし彼らがソフトウェアを走らせているだけで、あなたが本当に何もしていないなら、それは全く理に適っていない」

 また、ソン氏はこの対談の中で、イーサリアム(ETH)の共同創設者であるジョゼフ・ルービンと今年のコンセンサス会議で行った最近の賭けの条件も定めた。ルービン氏は、「ブロックチェーンを基盤とした事業のほとんどが5年以内に廃れる」というソン氏が間違っていることに、「ビットコインをいくらでも」賭けるとしていた。