銀行が独自のビットコインのような暗号通貨をローンチする計画を発表した。その暗号通貨はRSCoinと呼ばれ、ビットコインや他の暗号通貨の基盤として知られる分散型元帳、ブロックチェーンで動作する。

2016年1月の早期に、中国人民銀行もまた独自の暗号通貨をローンチする計画を明らかにしている。

 

従来の暗号通貨からの根本的な転換

RSCoinはロンドン大学(UCL)の研究者によって独自に開発されたもので、ビットコインや他の暗号通貨と比べると、より中央集権的にコントロールされたものだ。

ロンドン大学の研究者によって次のように語られている―

 

「RSCoinは従来の暗号通貨から根本的な転換をし、貨幣供給の中央集権化を目指しています。特定の通貨における全ての単位は、特定の中央銀行によって作られたものですし、RSCoinに基づいた暗号通貨を作り出すことで、大幅に政府に迎合した形で暗号通貨を発行することになるでしょう。しかしこういった中央集権型の特徴に関わらず、RSCoinによって既に存在する(非暗号的な)通貨から透明性の高い取引元帳を作り出すという点で利益になりますし、それによって分散型のシステムとグローバルな目に見えた形でのマネー・サプライを実現出来ます。これにより、金融政策の透明化が可能になり、支払いといくら転送したのかを示す値にダイレクトにアクセスすることができるようになり、偽名、およびブロックチェーンや仮想通貨などのイノベーションによる利益、どちらもサポートする形になります」

もしこれが実現すれば、イングランド銀行単体でブロックチェーンを操作し、ブロックチェーン上にある暗号通貨を増やしたり減らしたりと、暗号キーも独占することが出来るようになってしまう。

ケンブリッジ・ブロックチェーン LLC、CEO、Matthew Commons氏は次のように解説している―

 

「RSCoinはおそらくビットコインによる分散型のモデルと、両替可能な中央集権的なフィアット・カレンシーとの”ハイブリッド”なアプローチとして考えられる中で最適なものでしょう。こういったハイブリッドモデルにおいては、中央銀行は取引を検証する権限を他の” mintettes”と呼ばれる多くの機関に与えることになります―そして彼らは自らの行動に対して法的責務を負っています。この試みは、こういったアプローチが持続可能でスケーラブルなものなのかどうかに関して検証する手助けになるでしょう」

 

RSCoinの意義

Matthew Commons氏は好意的に話し、RSCoinは大きな意義を担うことになるだろうと語っている―

 

「世界中で、政策立案者たちが中央銀行によってコントロールされた仮想通貨がどのようにして、より速く、低コストな支払いを更なる透明性を持って行うことができるのか、再検証し始めています。今日の低い、またはマイナス金利の政策下において、仮想通貨を導入することで以前では不可能だった新しい金融政策を実現することが可能になるかもしれません」

 

Nxt FoundationのBas Wisselink氏は、RSCoinがパブリック・ブロックチェーンによる効率的なメカニズムなしで動作するのであれば、ただの暗号通貨の中の一種に過ぎないと考えているようだ―

 

「銀行がこのようなことに挑戦するのは驚きに値しませんが、結局は彼らにとって最も必要とされることは、彼らの行うこのようなアプローチでは、最終的にデッド・エンドで終わってしまうと、現実を受け入れることだと思います。許可型のブロックチェーンでは、コンスタントなメンテナンス作業が必要とされますし、それがまさに外部委託と認可の不要なブロックチェーン上で利用することによる利点だと言えます。彼らは見事にその効率的なメカニズムを棒に振っているのです」

 

David Mondrus氏は、イングランド銀行がマーケティングの達人たちの恩恵を受け、新たな暗号通貨を販売することは全くもって可能だが、”幸いなことにビットコイン・コミュニティが、詐欺であると声を大にしてしばしば叫んでいることもあり、今回もその例外ではないだろう”としている。

 

コントロール可能なものは、やがて全てコントロールされる

私的なシステムに関連したものと言えば、多くの人が想像するのは増え続ける汚職に対する躊躇だ。

 

「人間の基本的な心理や歴史を見てみて下さい―汚職にまみれることがなかったシステムの存在など一つでも上げる事が出来ますか?ブロックチェーン技術は不必要な信頼などというものを人間が持つことを避けることができる方法の一つです、もう一度言います、彼らはまさにその技術を放棄しようとしているのです」Bas Wisselink氏も次のように、この意見に対して同意している―「私は銀行にもブロックチェーン技術を扱うことが出来ると確信しています。しかし、必要不可欠な利点を台無しにするというのは、理にかなっていません。彼らは原理を全く理解していないか、本来使われるべき形でツールを利用したいとは思っていないのだ、としか考えられません」

 

David氏はさらに次のように述べている―「コントロール可能なものはやがて全てコントロールされる運命にあるのです。分散型のバリュー・ネットワークであるポイントは、こういったケースには欠如している分散型の恩恵を受けることによって、まさにそういったリスクを軽減することにあるのです」