官民のステークホルダーがブロックチェーンのガバナンスを議論するイニシアティブが10日に発足した。金融庁や日経新聞が共催する「ブロックチェーン・グロバール・ガバナンス・カンファレンス(BG2C)」の中で発表された

発足したのは「ブロックチェーン・ガバナンス・イニシアティブ・ネットワーク(BGIN)」といい、マルチステークホルダー間でオープンかつグローバルにブロックチェーンのガバナンスを議論していく。

BGINの創設メンバーには、金融庁やアイルランド財務省といった規制当局のほか、コインベースやクラーケンといった仮想通貨取引所、イーサリアム財団、ジョージタウン大学の松尾真一郎教授などの研究者らが約20人が参加している。

今後はオンラインでオープンな形で議論を進めていく。技術標準やオペレーション標準などを共同で作成していくという。議論の成果物として、ドキュメントやコードを公開していく方針だ。

松尾教授は、今回のBGIN設立について「新しいガバナンスを草の根で作るためのスタートポイントだ」とし、次のように述べている。

「ビットコイン以前には、金融秩序は監督当局が法律を作ってきたが、ビットコインの時代になり、草の根からソフトウェアが出てきた。ソフトウェアを規制するのは難しく、規制当局とエンジニアがともに秩序を作るために協力していかないといけない」

規制当局と技術コミュニティの対話

金融庁は2017年からブロックチェーンについて、技術コミュニティと対話するためのラウンドテーブルを開催。金融庁の担当者は、ブロックチェーンについて「金融規制当局だけで解決できない問題がある」とし、こういった取り組みを進めてきたという。

こういったブロックチェーンのコアディベロッパーやアカデミアの研究者との対話の中で、グローバルでガバナンスを議論するための新しいイニシアティブの必要性が意識されてきたという。

松尾教授によれば、インターネットでのガバナンス形成を参考に、今回のイニシアティを形成したと述べている。

「インターネットがマルチステークホルダーの議論の先駆けとなってきた。過去のインターネットでの知見を活かしていきたいと考えている」

今後のロードマップ

3月10日にブロックチェーン・グローバル・ガバナンス・カンファレンス(BG2C)の中で、BGINの設立を宣言した。今後は、オンラインでのメーリングリストなどで個別のトピックについて議論を進めていくという。

2020年秋に第1回のBGINの会議を開催する。21年初頭には第2回の会議を開催する予定だ。年に3回程度、リアルでの会議を開催していきたいとしている。