2017年は株が強い動きを見せたが、仮想通貨の上昇がこれを大幅に上回った。

 昨年一番強かった株式市場はジンバブエで117.7%の上昇を遂げたが、約290倍伸びたリップルに比べると比較にならない。実際、16年12月31日に0.0065ドルだったリップルは、17年12月31日には2.25ドルまで伸びた。17年末にはリップル(9.7兆円)は時価総額ベースでイーサリアム(8.4兆円)を抜き、ビットコイン(26兆円)に次ぐ仮想通貨となった。

17年に上昇率が一番高かった世界の株式市場は

 株式市場の中で昨年上昇率が一番高かったのは発展途上国市場だ。アルゼンチンの後にはアルゼンチン(77.7%)、モンゴル(68.9%)、カザフスタン(59.3%)と続く。

 ところが誰にでも取引可能で継ぎ目なく24時間取引されている仮想通貨に比べると、取引のしにくいこれらの株式市場で取引を行うには障壁がある。仮想通貨のほうが人気を得ることも頷ける。

先進国の株式市場も堅調

 また先進国の中では香港がトップで36%の上昇率となった。これにインド(27.9%)が続く。

 香港のハンセン指数は07年11月につけた最高値付近の水準で17年の取引を終えた。同指数は09年の底値から上昇を続けておりさらに6%程の上昇で07年の高値を試す展開となっている。17年を通じて強い動きを見せており、月間を通して下げたのは一度だけだった。

 インドのBSEセンセックス30指数もハンセン指数ほどではないが強かった。高値付近で取引を終えるなど12月には強気継続シグナルが灯っており、さらなる上昇が見込まれる。

Chart

 香港とインドの後につけるのが19.4%上げた米S&P500だ。過去13カ月という軸でみると29.3%の上昇、また16年2月の底値から直近の高値までで48%の上昇だ。さらに月間高値を更新し続ける状況が強い上昇トレンドを決定づけている。

 ここからさらに伸びるだろうか。前回のラリーは11年10月の底値から計算すると調整入りするまで99%伸びた。今回の上昇はその半分ほどまでしかきておらず、さらなる上昇余地を示している。

最も下がった株式市場は

 一方で下降率が一番大きかったのはサラエボ証券取引所で18.5%下落した。これに政情不安定だったカタールとパキスタンが続く。

仮想通貨のパフォーマンスは株式市場を大幅に凌駕

 次に5つの主要仮想通貨を見てみよう。

 リップル以外の全ての仮想通貨に共通するのは、11月上旬から上昇が加速したことだ。

 リップルは遅まきながら上昇を開始したが他の仮想通貨が反落する中上昇の勢いを保っており、12月だけで7倍になった。

Chart BTC/USD

 リップルの次に強かったのがダッシュで、1年で94倍上がった。32か月にわたる値固めの後、昨年2月に上昇を開始。過去10カ月で一時100倍まで伸びるなど、上昇を続けていた。

 上昇率の三番手はイーサリアムで12月31日につけた757ドルで90倍伸びたことになる。17年最初の5か月でまず50倍上がった後、4か月の調整に入った。そして11月に正三角形パターンを上放れし、863ドルのレジスタンス目前に倍にあがった。その後高値から40%ほど反落している。

Chart ETH/USD

 4番手がライトコインで、約56倍上がった。11月底値から計算しても7倍上がったことになる。取引量が過去最大となった420ドルの高値をつけてからここ数週間は反落している。

Chart LTC/USD

 第6位となるビットコインは14倍上昇した。12月中旬につけた19666ドル時点では19倍の伸び率となっていた。

 ちなみに過去2年で最大の取引量は、この過去最高値をつけた後の下落の週に発生した。

 チャートを見ると明らかだが、11月に並行トレンド帯を飛び出し上昇を加速させていた。

Chart BTC/USD

 ビットコインに続いたのがモネロで、5.9ドルが348.02ドルまで上昇し約25倍伸びた。そして明らかな上昇トレンドが継続している。

Chart XMR/USD

 第7位はIoT特化型仮想通貨のIOTAで、6月のローンチ以来13.6倍伸びた。17年高値は今から約2週間前の5.8ドルだ。それまでの7週間で17倍に伸びていたが、その後最大80%反落している。

Chart IOT/USD

 そして最後はビットコインキャッシュで、8月リリース時の320ドルから2553ドルまで伸びた。また、12月20日につけた4000ドル時点で11.5倍伸びた計算になる。こちらも上昇トレンドが進行中だ。