仮想通貨の「価格」が機能する仕組みを解説

仮想通貨の「価格」が機能する仕組みを解説

Cointelegraph

1.

仮想通貨と法定通貨の価格の比較

 いずれも、基本的な価値を持つ商品(金など)による裏付けはない。

 仮想通貨の価値と法定通貨の間にある最大の違いは、法定通貨が中央政府による裏付けを受け、法で定められた貨幣であると明言されていることだ。法定通貨の価値は、基本的に、中央政府がそこに価値があることを述べ、取引を行う二者がその価値を信頼するという事実から生じている。

 現在、ほとんどの国々の活動は法定通貨システムに基づいて行われている。中央銀行と通貨準備金が貨幣の供給量を調節し、間接的にインフレを抑制する仕組みだ。

 一方、仮想通貨は中央政府や公共機関による統制を受けず、多くの地域において、法で定められた貨幣としては受け入れられていない。また、仮想通貨の供給量は一般的に一定であり、それゆえ、インフレを受けての通貨切り下げ措置が存在しないことが多い。

 こうした点を除けば、法定通貨と仮想通貨はいずれも類似した性質によって成り立っている。どちらの手法も製品やサービスを買うための取引媒体として使うことができ、 相対的な価値の保存を行うものだ。

 

 

2.

なぜ仮想通貨の価格はこれほど変動するのか

まだ市場は萌芽期にある。

 仮想通貨市場はまだ非常に新しいものだとみなされている。多くの人々は「仮想通貨」という言葉を聞いたことがあるのみで、この業界にあまりなじみがない。

 萌芽期の市場には、市場を本質的に不安定なものにする性質がいくつもある。

 従来型の経済市場(外国為替市場など)のような、より確立された市場と比べると、仮想通貨市場における流動資産の換金能力は限られている。わかりやすい比較をすると、世界にある貨幣の価値総額は90兆ドルを超える一方、仮想通貨市場の時価総額は2500億ドル前後を行き来している。その差は3万6000%だ。

 1日あたりの仮想通貨の取引額は140億ドル前後である一方、外国為替市場での取引額は5兆ドルに迫る。外国の通貨を取引することで得られる利ざや(つまり、買値と売値の差)は最大でも数セントだが、仮想通貨取引であれば数ドルになることもある。

 これらの点はすべて、とても素早い値動きを示す性質を持ち、仮想通貨価格の不安定性を高めるような、非常に薄商いの市場が生まれることを示す。

 また、市場には多数の新規ユーザーが日々参入している。18年初頭の仮想通貨取引所からは、毎日10万人の新規ユーザーが加わっているとの報告がなされていた。こうした人々の多くが、上下する仮想通貨価格に大きく関与する。市場のが持つ混乱しやすい性質は増し、不安定性はさらに大きくなる。

 最終的に、萌芽期の市場では価格操作が蔓延することがある。中央取引所は仮想通貨の流通のほとんどを制御していることから、彼らにとって、仮想通貨の価格を人為的に操作して収入を増やそうとする動機は大きくなる。それを実際に行える方法の一つは、取引所に表示される価格情報を操作し、トレーダーに買い注文、もしくは売り注文を促すことだ。

 こうした種類の操作による影響は、簡単につけこまれやすい新規参入者を何千人も市場に放り込めばさらに大きなものとなる。その上、規制のない市場で価格操作を証明したり、抑制したりするのは難しい。

 中央取引所はまた、単独で機能不全の原因になる。多額の仮想通貨を管理・保管しているため、もしハッキングを受ければ仮想通貨の価格に大きな影響が出る可能性がある。

 

3.

仮想通貨の価格を決定する要因は何か

供給と需要が仮想通貨の価格を決定する要因である。

 これは経済の基本原則だ。仮想通貨のトークン供給量が多く、トレーダーやユーザーからの需要が少なければ、価値は下がるだろう。反対に、特定の仮想通貨の供給量に限りがあり、需要が高ければ、その仮想通貨の価値は上がるだろう。

 

 このことは、仮想通貨の価格を引き上げ、ビットコインの価格を最高水準にまで上昇させた因子の一つでもある、欠乏の要素と関連している。ビットコインの供給量には2100万BTCという上限(他のトークンに比べて低い)があるが、需要はここ数年で急増している。

 メディアや世論もまた、仮想通貨価格に対する大きな影響力を持っている。あるトークン、もしくはプラットフォームをめぐる悪い評判が立てば、その仮想通貨の価格は一般に急落するだろう。一方、同じ仮想通貨への支持が注目を集め、メディアに良く報道されれば、価格が上がることはほぼ確実だろう。つまり、仮想通貨の価格は人間の感情と宣伝に強く影響されるのだ。

 価格に大きく関わる他の因子には、トークンの利便性や、基盤となっているブロックチェーンプラットフォームが実世界での課題解決に役立つ度合いなどがある。また、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)型トークンのマイニングの難易度も、価値に影響する。つまり、仮想通貨のマイニングが難しくなるほど供給量を増やすことが難しくなり、需要が多い時に価格を上げる圧力が生まれるということだ

 

4.

ここ18ヶ月で仮想通貨の価格はどう変化したか

ビットコインの価格を追跡すると、過去18ヶ月の仮想通貨市場の全容について良い示唆が得られる。

 17年、ビットコインの価格は1000ドル未満から始まり、中国政府が国内の仮想通貨取引所に対する捜査を行うことを発表した時に急落した。この時点で、ビットコイン取引の大部分は中国で行われており、ビットコインの価格は775ドルにまで下落した。この時、仮想通貨市場全体の時価総額は150億ドル弱だった。

 ビットコイン価格はその後わずかな回復を見せ、1000ドル超にまで値を戻したが、17年3月に米証券取引委員会がビットコインの上場投資信託(ETF)を認めなかったことで、再び1000ドル未満へと下落した。市場全体の時価総額は、2日間で50億ドルにまで急落した。

 17年4月、日本がビットコインを合法な財産的価値として認めると宣言したことから、価格が1000ドル超へと急回復した。この段階で、仮想通貨市場全体の時価総額は約260億ドルだった。

 17年4月から7月にかけて、ビットコイン価格は徐々に3000ドルにまで上昇し、仮想通貨市場全体の時価総額は1000億ドルを超えた。しかし、ビットコインは7月中旬までの間に2000ドル未満に暴落した。これは、ビットコインとビットコインキャッシュの分岐が行われてから、わずか数日間での出来事だった。

 この影響は短期的なもので、17年8月末までには価格が回復し、5000ドルに迫った。仮想通貨市場全体の時価総額は1700億ドル近くに達した。

 ところが9月4日、中国政府はイニシャル・コイン・オファリング(ICO)を禁じる有名な措置をとった。ただし、市場の反発は予想されていたよりも大幅に小さかった。ビットコインは17年9月までに3300ドル前後に値を下げたが、同月末までに素早く回復し、4000ドルを大幅に超える価格になった。仮想通貨市場の時価総額は、この時点で1500億ドルをわずかに下回る水準だった。

 ここからビットコインは大きな勢いを得た。17年10月までに6000ドルの大台を超え、1万ドルに迫る価格で11月を締めくくった。

 17年12月中旬、ビットコインは2万ドルもの高値をつけた。しかし、年末には約1万5000ドルとなり、仮想通貨市場の時価総額は約2350億ドルで年を越した。

 18年1月末までの間に、ビットコイン価格は再び1万ドル程度まで下がり、2月には6000ドルにまで値を下げた。

 18年2月には、ビットコインが1万1000ドル超にまで戻り、仮想通貨市場全体の時価総額は5000億ドル程度にまで回復した。これは、同月中に3000億ドルという低水準を記録した後のことだった。

 それ以降、さまざまな市場における規制の強化や、その他にも突如生じた障壁(グーグルによる仮想通貨広告の禁止など)の話題が出る中で、ビットコインの価格は時おり短期的な回復を見せながらも、一定した下落傾向を示している。18年7月初旬の時点でビットコインの価格は6000ドル前後となり、市場時価総額は約2500億ドル付近に留まっている。

 

5.

仮想通貨の価格予測はどれほど正確か

従来型の市場と同様、仮想通貨市場においても将来の価格予測には確実な保証はない。

 

 18年、あるいはその先の価格予測を試みてみた人々の考えは、ほとんど両極端に分かれている。

 ジョン・マカフィー氏(マカフィーアソシエイツ)や、米CNBCのジム・クレイマー氏、ボビー・リー氏(BTCCエクスチェンジのCEO)のように、ビットコインが100万ドルの大台を突破するだろうと予想した人々もいる。

 これよりはまだ控えめとはいえ、やはり比較的高い価格を予想した人々もいる。例えば、JPモルガンの元米国株ストラテジストであり、現在ファンドストラットの業務執行社員を務めるトム・リー氏は、ビットコインが18年末までに2万5000ドル、22年までに12万5000ドルの値をつけると予測した。

 同じファンドストラットのロバート・スレイマー氏は、ビットコインが7000ドルよりも大幅に高い値をつけることはないとした。一方、ビットコイン基金の執行取締役であるルー・クラッセン氏は、18年中にビットコインが4万ドルに達するだろうと述べている。

 これとは真逆のところにいるのが、市場が完全に崩壊するという予測を好む人々だ。投資専門型銀行のGPブルハウンドでは、年内に90%の市場暴落が起きると予測している。また、ハーバード大学教授で、国際通貨基金の元代表であるケネス・ロゴフ氏は、ビットコインの価値が100ドルにまで縮小すると予測した。ゴールドマネー社のCEO、ロイ・セバーグ氏は、将来、ビットコインの価値は0ドルになると述べた。

 仮想通貨の価格予測が話半分に聞くべきものであることはかなり明白だ。だが、ビットコインの価格、さらにはより広い仮想通貨市場にほぼ確実に影響するであろう、注目の要素は他にもある。以下の項目はその例だ。

 

  • 影響力のある仮想通貨市場に課される規制のレベルと性質
  • 来年以降に仮想通貨がどの程度採用されるか
  • 仮想通貨の先物取引市場がどの程度成長するか
  • トークンの利便性、および、その基盤となるテクノロジーが実世界の課題を解決する能力