「ビットコインを始めてみたいけど、取引ってなんだか難しそう……」。そう感じている方は少なくありません。
インターネットやニュースで「仮想通貨」や「暗号資産「ビットコイン」という言葉をよく耳にするものの、実際にどうやって取引するのか、どんな方法があるのか、難解なチャートを前にして、最初は戸惑ってしまうものです。
仮想通貨の取引方法にはいくつか種類がありますが、中でも最も基本的で、初心者の方が安心して始めやすいのが「現物取引」です。
暗号資産(仮想通貨)の取引方法を理解する上で、現物取引は欠かせない要素と言えるでしょう。
現物取引は、スーパーで商品とお金を交換するように、シンプルで分かりやすい仕組みが特徴です。
この記事では、ビットコインの現物取引について、その基本的な仕組みから、メリット・デメリット、他の取引手法との違い、そして具体的な始め方まで、初心者の方にも理解できるよう徹底的に解説します。
この記事を読めば、ビットコイン現物取引の全体像が掴め、自信を持って取引を始めることができるはずです。
ビットコイン現物取引とは?基本の仕組みと概念を理解する
現物取引とは、手持ちの資金を使って、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨を「買って」「売る」という、最も基本的な取引方法です。
この「現物」という言葉は、実際に存在するモノやサービスそのものを指します。特に、ビットコイン(BTC)の場合もこれに当てはまります。
仮想通貨の現物取引における「現物」は、もちろん目に見える「モノ」ではありませんが、データとしてブロックチェーン上に存在するビットコインそのものを指します。
現物取引の仕組み:シンプルisベスト
現物取引は、以下のシンプルなステップで成り立っています。
- 法定通貨(日本円など)の準備:銀行口座から取引所に日本円を入金します。
- ビットコインの購入:入金した日本円を使って、取引所でビットコインを購入します。
- ビットコインの保有:購入したビットコインは、あなたのウォレットに保管されます。
- 売却して利益を確定:ビットコインの価格が上がった時に売却し、日本円に戻すことで利益が確定します。
この仕組みは、株式やFXなどの取引でも「現物取引」として存在する概念と同じです。
自分の手持ちの資金(元手)の範囲内でしか取引を行わないため、借金を抱えるリスクがない点が最大の特徴です。
なぜ「現物」取引と呼ばれるのか?
「現物」という言葉が使われるのは、仮想通貨そのもの(現物)を売買するからです。
後述するレバレッジ取引のように、将来の価格を予想して取引する「デリバティブ取引」と区別するために、「現物」という言葉が用いられています。
現物取引では、あなたが購入したビットコインはあなたの資産として、物理的に所有しているかのように扱われます。
【用語解説】
- ブロックチェーン:取引履歴を鎖(チェーン)のように繋げて記録する技術。データを改ざんされにくくする特徴があります。
- ウォレット:仮想通貨を保管するためのデジタルなお財布。
ビットコイン現物取引のメリットとデメリット
現物取引は、初心者にとって安心できるメリットが数多くある一方、知っておくべきデメリットも存在します。
現物取引のメリット
現物取引が初心者におすすめされるのには、明確な理由があります。ここでは、特に重要な4つのメリットを詳しく解説します。
【用語解説】
- 追証(追加証拠金):レバレッジ取引において、含み損が膨らみ、担保として預けた証拠金が一定の割合を下回った場合に、追加で証拠金の入金を求められること。
- ロスカット:レバレッジ取引で、損失が一定の水準を超えたときに、それ以上の損失拡大を防ぐために、取引所が強制的に決済を行う仕組み。
現物取引のデメリットと注意点
現物取引は初心者向きですが、知っておくべきデメリットや注意点もあります。
これらを事前に把握しておくことで、より賢く取引を進められます。
デメリット① ハイリターンは狙いにくい
現物取引は自己資金の範囲内での取引となるため、大きなリターンを狙うには、それなりの元手が必要になります。
例えば、10万円の資金でビットコインを購入し、価格が2倍になっても利益は10万円です。レバレッジ取引のように、少ない資金で大きな取引を行い、ハイリターンを狙うことはできません。
デメリット② 価格変動リスク
ビットコインは、株式などと比べて価格の変動が非常に大きい(ボラティリティが高い)という特徴があります。
短期間で価格が急騰することもあれば、急落することもあります。
現物取引は借金のリスクはありませんが、購入後に価格が下落した場合、資産価値が大きく目減りするリスクは常に存在します。
注意点:手数料やスプレッドを理解する
仮想通貨取引では、取引ごとに「手数料」や「スプレッド」と呼ばれるコストが発生します。
- 手数料:取引所によって異なりますが、取引を行う際に発生する費用です。
一部の取引所では、取引をすることで逆に報酬がもらえるマイナス手数料を採用している場合もあります。 - スプレッド:買値と売値の差額のことです。
特に「販売所」形式の取引では、スプレッドが広くなる傾向があります。
これらのコストを理解し、できるだけ手数料の安い取引所を選んだり、スプレッドの少ない「取引所」形式を利用したりすることで、無駄な出費を抑えることができます。
【用語解説】
- ボラティリティ:価格の変動幅の大きさを表す言葉。
ボラティリティが高いとは、価格が大きく変動しやすいことを意味します。 - スプレッド:仮想通貨の「買値」と「売値」の差額のことで、実質的な取引コストの一つ。
【重要】現物取引と他の取引方法との違いを徹底比較
現物取引をより深く理解するためには、他の取引方法との違いを知ることが不可欠です。
ここでは、特に初心者が混同しやすい「レバレッジ取引」と、現物取引を比較してみましょう。
レバレッジ取引(証拠金取引)とは?
レバレッジ取引は、手持ちの資金(証拠金)を担保に、その何倍もの金額で取引を行う方法です。
たとえば、レバレッジが2倍の取引所では、10万円の資金で20万円分の取引が可能です。
これにより、少ない資金で大きなリターンを狙える反面、リスクも高まります。
現物取引 vs レバレッジ取引:決定的な違い
比較項目 | 現物取引 | レバレッジ取引 |
取引金額 | 自己資金の範囲内 | 自己資金の数倍
(レバレッジをかけた分) |
リスク | 投資金額以上の損失なし | 追証やロスカットのリスクあり |
取引対象 | ビットコインそのもの | ビットコインの価格変動 |
目的 | 中長期的な資産形成 | 短期的な利益の追求 |
売買の方向 | 買い(ロング)のみ | 買い(ロング)と売り(ショート) |
レバレッジ取引の「売り(ショート)」とは?
レバレッジ取引では、将来的に価格が下がると予想した場合、「売り(ショート)」から取引を始めることができます。
これにより、価格が下がれば下がるほど利益が出るという、現物取引にはない取引方法です。
このように、現物取引は「自己資金以上のリスクを負わない」という点で、レバレッジ取引とは根本的に異なります。
レバレッジ取引は、高い知識と経験を要するハイリスク・ハイリターンな取引手法であり、初心者には現物取引から始めることが強く推奨されます。
【用語解説】
- レバレッジ:テコの意味で、少額の資金を担保に、その何倍もの金額で取引できる仕組み。
- 証拠金:レバレッジ取引を行う際に、担保として取引所に預ける資金のこと。
ビットコインの最新動向:なぜ今、注目されているのか?
近年、ビットコインは世界中の投資家や企業から大きな注目を集めています。
その背景には、以下のような新しい動きがあります。
大企業によるビットコインの購入
近年、アメリカのソフトウェア企業であるMicroStrategy社や、電気自動車メーカーのTesla社など、多くの大手企業がビットコインを大量に購入し、自社のバランスシートに組み入れ始めました。
これは、ビットコインを単なる投機的な資産ではなく、インフレヘッジや価値の保存手段として見なしていることを示しており、ビットコインの信頼性を高める大きな要因となりました。
ビットコインETFの登場
最近、アメリカでビットコイン現物ETF(上場投資信託)が承認され、取引が開始されました。
これにより、個人投資家だけでなく、年金基金やヘッジファンドといった機関投資家も、より手軽にビットコインに投資できるようになりました。
ETFの承認は、ビットコインが従来の金融市場でも認められつつあることを意味し、市場への信頼と資金流入を加速させる大きな転換点となりました。
日本国内での動向
日本国内でも、金融業界やIT企業がビットコインやブロックチェーン技術への関心を高めています。
米国でビットコイン現物ETFが承認されたことは、日本の投資家や市場関係者にも影響を与え、ビットコインへの注目度を押し上げています。
国内では、ビットコインの購入や保有方針を発表した企業(例:メタプラネット)の株価が急騰するなど、関連銘柄が話題になるケースも見られます。
こうした動きは、ビットコインが今後も私たちの生活や経済に深く関わっていく可能性を示唆しています。
【用語解説】
- インフレヘッジ:インフレーション(物価上昇)によって資産の価値が目減りするのを防ぐために、物価と連動しやすい資産を持つこと。
- ETF(上場投資信託):株式と同じように証券取引所で売買できる投資信託のこと。
ビットコイン現物取引を始めるための具体的なステップ
現物取引の仕組みが理解できたら、実際に取引を始めるための具体的なステップを見ていきましょう。
ステップ1:仮想通貨取引所を選ぶ
日本には金融庁に登録された複数の仮想通貨取引所があります。
取引所によって、手数料、取り扱い銘柄、セキュリティ対策、使いやすさなどが異なります。
初心者の方は、以下のポイントを参考に取引所を選びましょう。
セキュリティの高さ
過去にハッキング被害がないか、コールドウォレットの採用など、セキュリティ対策がしっかりしているかを確認しましょう。
手数料の安さ
取引手数料や入出金手数料が安い取引所を選ぶことで、コストを抑えることができます。
使いやすさ
アプリやウェブサイトの操作性が良いか、初心者向けの解説が充実しているかなども重要なポイントです。
サポート体制
困ったときに日本語でサポートを受けられるかどうかも確認しておきましょう。
【初心者向け】おすすめの国内仮想通貨取引所を比較
上記のポイントを踏まえ、初心者の方におすすめの国内取引所をいくつかご紹介します。
それぞれの特徴を比較して、ご自身のスタイルに合った取引所を見つけましょう。
取引所名 | 特徴 | どんな人におすすめ? |
Coincheck(コインチェック) | ・アプリのダウンロード数No.1
・シンプルなデザインで操作が簡単・販売所の取り扱い通貨が豊富 |
・「まずは触ってみる」という初心者
・スマホアプリで手軽に取引したい人 |
bitFlyer(ビットフライヤー) | ・日本円の入出金手数料が安い
・ビットコインの取引量が多い ・セキュリティ対策が万全 |
・取引コストを抑えたい人
・安心して取引したい人 |
DMM Bitcoin(DMM ビットコイン) | ・入出金手数料、送金手数料が無料
・レバレッジ取引の対応銘柄数が多い |
・頻繁に入出金を行う予定の人
・将来的にレバレッジ取引も検討している人 |
※注記:上記は一般的な特徴であり、手数料やサービス内容は変更される場合があります。
最新情報は各取引所の公式サイトでご確認ください。
【補足】海外の仮想通貨取引所も一つの選択肢
国内の取引所が最も安心して利用できる選択肢ですが、世界には数多くの海外取引所も存在します。
海外取引所の中には、国内では扱っていない新しい仮想通貨の取り扱いが豊富だったり、取引手数料が安かったりするなどのメリットがあります。
しかし、日本語サポートが不十分であったり、日本の法律が適用されないリスクもあるため、初心者の方がいきなり利用することは推奨されません。
まずは国内の取引所で慣れてから検討するのが賢明です。
ステップ2:口座を開設する
選んだ取引所の公式サイトから、口座開設の手続きを行います。
多くの取引所では、スマートフォンやパソコンから以下の手順で簡単に手続きができます。
- メールアドレスの登録とパスワード設定。
- 氏名、住所、生年月日などの基本情報の入力。
- 運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類の提出。
- 審査完了後、開設完了の通知が届きます。
ステップ3:日本円を入金する
口座開設が完了したら、取引所の指定する銀行口座に日本円を振り込みます。
入金方法には、銀行振込のほか、取引所によってはクイック入金などがあります。
ステップ4:ビットコインを購入する
入金が反映されたら、いよいよビットコインを購入します。
取引画面には、大きく分けて「販売所」と「取引所」の2種類があります。
- 販売所:仮想通貨交換業者を相手に売買を行います。操作が簡単で初心者向けですが、スプレッドが広くなる傾向があります。
- 取引所:ユーザー同士、つまり取引参加者同士で売買を行います。
希望の価格を指定して注文できるため、スプレッドが狭く、手数料が安くなる傾向があります。
この希望価格を指定する注文方法を指値注文といいます。
初めての取引であれば、まずは販売所で少額から始めて、慣れてきたら取引所形式にも挑戦してみるのがおすすめです。
【用語解説】
- コールドウォレット:ネット非接続で仮想通貨を安全に保管する方法。
- 販売所:仮想通貨交換業者から直接、仮想通貨を購入する場所。
- 取引所:仮想通貨の売買を行いたいユーザー同士をマッチングさせる場所。
現物取引で知っておきたい投資の基本と心得
現物取引は初心者向けですが、成功するためにはいくつかの基本と心得を知っておくことが重要です。
心得① 余剰資金で取引を行う
仮想通貨は価格変動が激しいため、生活に必要なお金で取引を行うのは絶対に避けるべきです。
万が一の事態に備え、なくなっても生活に支障のない「余剰資金」で取引を行いましょう。
心得② 分散投資を心がける
ビットコインだけでなく、他の有望な仮想通貨や、株式、債券など、複数の資産に分散して投資することで、リスクを軽減できます。
心得③ 常に情報を収集する
仮想通貨市場は新しい技術やニュースによって大きく動きます。
信頼できるメディアや公式情報源から、常に最新の情報を収集する習慣をつけましょう。
心得④ 長期的な視点を持つ
ビットコインは、短期的な価格変動に一喜一憂するのではなく、中長期的な成長に期待して保有することが一般的です。
短期的な値動きに惑わされず、長期的な視点を持つことが成功への鍵となります。
まとめ:現物取引は、安全な仮想通貨投資の第一歩
この記事では、ビットコインの現物取引について、その仕組みからメリット・デメリット、他の取引方法との違い、そして具体的な始め方まで、幅広く解説しました。
現物取引は、自己資金以上の損失を負うリスクがなく、自分のペースで仮想通貨取引をできるため、初心者にとって最も安全で始めやすい方法です。
この記事を読んで、現物取引の全体像が掴めたなら、次は実際に取引所を選び、少額からでも始めてみましょう。
大切なのは、焦らず、自分のペースで、着実に知識と経験を積み重ねていくことです。
この記事が、あなたの仮想通貨投資の第一歩を後押しできれば幸いです。
初心者が抱くビットコイン現物取引の疑問をQ&A形式で解説
ここでは、ビットコインの現物取引を始める際に多くの人が抱く、具体的な疑問にQ&A形式で答えていきます。