米国とカナダの州レベルの証券規制当局は、詐欺の可能性のある仮想通貨投資プログラムに対する捜査「仮想通貨一掃作戦」を開始した。21日のプレスリリースで明らかにした。最近行われた疑わしい仮想通貨投資商品に対する取り締まりは、州当局による最大の協調捜査であるという。 

 北米証券管理者協会(NASAA)がまとめ役となり、40の管轄区域の規制当局が70件の捜査を開始している。今後数週間で件数はさらに増える見込みだ。証券規制当局は約35社に対し、州証券法違反の疑いで警告を行い、停止命令に至ったケースもあるという。

NASSAは今年はじめ、仮想通貨やICOに付随するリスクに関し、今年始め一般投資家に警告を発した。NASSAは、今回の捜査は疑いのあるイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に焦点が当てられていると述べた。

 ワシントン・ポストによれば、捜査員は最近数週間で約30000件の仮想通貨関連ドメイン名を見つけたという。そのほとんどは、ビットコイン(BTC)が史上最高値の約$20000に達した2017年に登録されたものだった。

 詐欺が疑われるケースでは、偽の住所や派手な宣伝資料を使ったり、1日最大4%の利率を保証する一方で、仮想通貨投資の潜在的なリスクは伝えていなかったという。中には自社の商品を推薦するため、偽のセレブの写真を使う詐欺的なICOさえあった。

 NASAAのジョセフ・ボルグ会長は、規制当局は証券法に違反する行為が行われる一歩手前で食い止めようと、最善を尽くしていると述べた。そして、全てのICOや仮想通貨投資が詐欺というわけではない、と指摘する。

「我々は投資家の視点に立ち、投資家に対して何が宣伝されているのか、観察している。その後、次の段階に進み、証券法に違反していないか調査する」

 1919年に創設されたNASAAは、米国・メキシコ・カナダにおける州レベルでの証券規制機関による協会組織である。各州の証券規制当局はこの協会を通して連携し、「州を跨ぐ強制措置」や情報共有などに参加する。

 米証券取引委員会(SEC)は5月、投資家教育の一環で、詐欺的なICOの警戒すべき典型的な特徴をちりばめた、怪しいICOの模擬サイトを立ち上げている