カリフォルニアのセス・シャピーロ氏は、米大手通信企業AT&Tの従業員がスマートフォンの紛失・盗難時などのSIM再発行(SIMスワップ)を悪用した犯罪に加担したとして同社を訴えた。

「エミー賞を2回受賞したメディアでテクノロジーの専門家、作者、南カリフォルニア大学の准教授」であるシャピーロ氏は、5月16日~18日にAT&Tの従業員がシャピーロ氏のスマホへのアクセス権をハッカーに渡したと主張。その結果、180万ドル(約1億9000万円)分の仮想通貨を損失したと述べた。

「AT&Tの従業員は、シャピーロ氏のスマホに許可なくアクセスし、彼の匿名である個人情報を見てコントロール権を第3者のハッカーに金銭との交換で与えた」

SIMスワップとは、通信事業者を使って標的の電話番号をハッカーが持つSIMカードへ移転させる行為だ。一旦電話番号を受け取れば、ハッカーは被害者のパスワードをリセットし仮想通貨取引所のアカウントなどに侵入できる。

訴状によると、ハッカーは7つの仮想通貨取引所におけるシャピーロ氏の個人口座にアクセスしたという。

シャピーロ氏は、AT&Tの従業員とハッカーのチャット記録を保有していると主張している。

さらにシャピーロ氏は、SIMスワップによる被害に何度もあったとし、AT&Tはシャピーロ氏の口座を守るという米国連邦法に違反していると主張した。

AT&TがSIMスワップで訴えられるのは初めてではない。

今年7月、米国人投資家マイケル・テルピン氏がAT&Tに対し起こした連邦通信法違反を問う裁判で、AT&Tによる訴訟却下の申し立てが否決された

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翻訳・編集 コインテレグラフ日本版