中国の中央銀行である中国人民銀行は23日、デジタル人民元の発行に向けた法律の改正案を発表した。人民元の発行形式には「物理的形式とデジタル形式が含まれる」と規定し、デジタル通貨発行の法的根拠を定めた。

中国人民銀行法の改正案がホームページ上で公表された。この改正案についてはパブリックコメントを求めるとしており、11月23日までを締め切りとしている。

この改正案の狙いについて説明した文章によれば、デジタル人民元を発行するための法的根拠を提供することが今回の改正の狙いの1つだと述べている。

「人民元に物理的形式およびデジタル形式が含まれるとし、デジタル通貨の発行の法的根拠を提供し、仮想通貨のリスクを防止し、組織もしくは個人がデジタルトークンを作成および販売することを禁止していることを明確にしている」

実際の改正案の中では、第19条では「人民元には物理的方式とデジタル方式が含まれる」と規定されている。

また第22条では「組織もしくは個人は、市場で流通している人民元に代わるトークン、クーポン、およびデジタルトークンを作成または販売することはできない」としている。さらに第65条では、22条の規定に違反して、デジタルトークンの作成・販売したケースでの罰則について規定している。

中国は2014年からデジタル通貨の開発を進めており、今年に入ってからはデジタル人民元のテストを深センなどで実施していることが明らかになっている。中国政府は2022年の冬季北京五輪までにデジタル人民元を発行させる意向であると伝えられてる

今回の中国人民銀行法の改正案公表で、法的根拠の面でもデジタル人民元の準備を整えることになる。