イランの科学技術担当の高官が、ブロックチェーンは同国の経済を改善させるのに役立つ可能性があると発言した。イランの英字紙テヘラン・タイムズが16日に報じた。

同紙によると、イランの科学技術担当副大統領のもとで運営・投資担当を務めるアリレザ・ダリリ氏は、ブロックチェーンこそが、イランが国際的なパートナーと連携して取り組むべき新しい技術の一つであると述べ、現在「140か国以上」がこの革新技術から利益を得ていることを指摘した。

ダリリ氏は、ブロックチェーン技術により生じる可能性のあるリスクに対して懸念を抱く国があることを認めながら、ブロックチェーンのプラスの可能性はその弱点を補って余りあるものだという自身の考えを示した

さらにダリリ氏は、ブロックチェーンインフラの本質を概説しながら、その不変性と強固な暗号化機能を強調し、複数の分野(詳細は不明)に同技術を採用することを決めたと述べた。ダリリ氏は、ブロックチェーンが煩雑な官僚的手続きを簡素化するのに役立つ可能性があり、同省は民間セクターによるブロックチェーンイニシアチブの実現と支援に全力を尽くすつもりだとも述べた。

テヘラン・タイムズによると、テヘランにあるシャリーフ工科大学のブロックチェーン専門家グループが今月、イラン初となるブロックチェーンを用いたタクシーアプリを提供するスタートアップに取り組んでいることを発表し、さらに同スタートアップ企業の創設者は、独自のイニシャル・コイン・オファリング(ICO)を立ち上げたことも明らかにした

イランでは中央銀行が4月、国内の金融機関が仮想通貨を取り扱うことを禁止する措置を行った。しかし、それでもイランでは仮想通貨への関心は高い。イランではビットコインを使ったキャピタルフライトが行われており、フォーブスの5月の報道では25億ドルが国外に送金された。

またイランでは政府主導での仮想通貨発行の計画が取り沙汰されている。イラン政府高官は8月、政府主導による独自の仮想通貨発行の可能性についても言及している。

イランが政府主導でのブロックチェーン導入うに積極的な姿勢を示す一方で、国際的なイラン包囲網は進んでいる。

10月には、米金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)が、制裁回避を目的としたイランによる仮想通貨の利用を監視するよう仮想通貨取引所に求めた。また米財務省は、仮想通貨ランサムウェアに関与したイラン人のビットコインアドレスを制裁対象リストに追加する措置も行っている