英国を保険業界代表するロイズは、米企業のキングダム・トラストによる仮想通貨のカストディ(保管)プラットフォームに保険を提供する。キングダム・トラストが28日にプレスリリースで発表した

 1686年に設立されたロイズ・オブ・ロンドンは、200ヵ国以上で活動している英国の保険組合だ。ロイズは2011年から16年にかけて870億ドル(約9.6兆円)の保険金を支払ったと言われている。

 キングダム・トラストは10万人の顧客をもち、預託資産が120億ドル(1.3兆円)にものぼる。キングダム社は、デジタル資産投資のためのカストディサービスを提供する。同社によれば、規制を受けた金融機関がデジタル資産のカストディを提供するのは初めてという。

 キングダム社は、30種類以上のデジタル通貨の保管サービスを提供する。

 同社は現在、資産の盗難や破壊から投資家を保護するため、デジタル通貨への保険適用を始める。

 キングダム社のマット・ジェニングスCEOは次のようにコメントしている。

「当局からの規制を受け、保険が適用された金融機関による適切なカストディは、機関投資家がデジタル資産マーケットに投資するための最優先の、そして重要なポイントだ。ロイズのような信用できる専門家がプラットフォームに加わることで、現在そして将来の顧客がよりセキュアで、完璧な保管ソリューションを提供できるようになる。このソリューションで、機関投資家の課題に対応できるようになる」

 ジェニングス氏は、ロイターとのインタビューの中で、ロイズの市場を通じてキングダム社の保険を引き受ける保険会社、また保険契約の費用や条件については明らかにしなかった。一方で、ジェニングスうじは、キングダム社がデジタル通貨をオフラインで保存する「コールドストレージ」の技術を使うことで、より割安に保険を引き受けてもらえたと語っている。

 7月のブルームバーグの報道によれば、AIGやアリアンツ、チャブ、XLグループといった保険会社で仮想通貨への保険サービス事業が成長しているという。保険ブローカー大手のエーオンは仮想通貨保険の分野で50%のシェアを持つといわれており、仮想通貨分野でのビジネスを強化しているという。

 米大手保険グループのマーシュ&マクレナンは、18年は仮想通貨保険の勃興期だとし、ブロックチェーンの新興企業のための専門チームを設置したことを明らかにしている。