LGの情報サービス子会社であるLG CNSは、ブロックチェーン基盤のIDシステムがログイン機能の新しい標準になる可能性があるとみている。LG CNSがコインテレグラフの取材の中で語った。

LG CNSは、同社がブロックチェーン基盤のIDサービス開発を追及している理由について尋ねると、そのようなシステムが「将来のブロックチェーンのホットトピック」になると期待されるためと説明した。また「おそらく、すべてのログイン機能を置き換えることになるだろう」と述べている。

LG CNSは5月末、ブロックチェーン基盤のIDシステムを開発するため、米企業Evernymと提携した。両者は、国際的なデジタルID規格を共同で開発することを目指している。

LG CNSのパートナーであるEvernymは、オーバーストック(Overstock)のベンチャーキャピタル部門であるメディチ・ベンチャーズ(Medici Ventures)から200万ドルの投資を得ているほか、Sovrinと呼ぶプラットフォームを立ち上げている。これは企業や政府がデジタル資格情報を発行、検証、管理できるようにするものだ。

“自己主権型アイデンティティが重要に”

ブロックチェーン企業RIFの戦略責任者であるガブリエル・クルーマン氏は、プロジェクトがどれほど重要であるかと質問すると、「自己主権型アイデンティティ基準は重要だ」と答えている。同氏は、これらの基準により、ユーザーはデジタルインタラクションをコントロールし、プライバシーを保護できると説明した。

「現在、私たちのデータ、インタラクション、およびレピュテーションは、大きな影響を与えるビッグテック企業によって囲い込まれており、データ漏洩や私たちの同意なしの個人データ売買という結果をもたらしている。特にアイデンティティ関連のテクノロジーと標準では、オープンソーステクノロジーを使用し、未来のシステムをオープンにし、誰でも利用できるようにすることが非常に重要だ」

RIFは、ビットコイン(BTC)のスマートコントラクトソリューション「RSK」の基礎となっている同名プロトコルの背後にある企業だ。クルーマン氏によれば、RIFもアイデンティティソリューションに取り組んでいるという。「ユーザーが自分のプライバシーを失うことなく、IDを主張・検証できる機能を提供する」とう。

ブロックチェーンIDは諸刃の剣に

クルーマン氏は、この基準が「私たちの世代が過去15年間失っていたデジタルインタラクションに対するプライバシーの権利を将来の世代が回復するのに役立つことを願っている」と語った。そのような基準が個人データのセキュリティに大きな利益をもたらすことができる、と説明している。

クルーマン氏は、個人IDが分散保存されるようになれば、データ漏洩の可能性も低くなると主張している。しかし、クルーマン氏は一定の留保をつけている。

「一方で、このツールが、巧妙に偽装されて企業や政府による大規模な監視に使われることを懸念してる。それを回避するには、オープンソーステクノロジーとパブリックブロックチェーンが必要だ」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン