ロシアの仮想通貨取引所BTC-eの元運営者で、2024年に資金洗浄の罪を認めたアレクサンダー・ヴィニック氏が、米国とロシア政府間の取引の一環として釈放される見通しだ。

米国がヴィニック氏をロシアへ引き渡しへ

2月12日のウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、米当局はロシアに拘束されていた米国人教師マーク・フォーゲル氏釈放の見返りとして、ヴィニック氏をロシアに引き渡す予定だ。BTC-eの運営者だったヴィニック氏は、2024年5月に資金洗浄共謀の罪で有罪を認め、米国の刑務所に収監されている。

フォーゲル氏はモスクワのアングロ・アメリカン・スクールで教鞭を執っていたが、2021年に空港で大麻の違法所持容疑で逮捕され、ロシアで拘束されていた。2月11日に釈放され、米国へ帰国した。

米当局は別のロシア国籍の人物も釈放する予定だが、現時点で他の米国市民も帰国できるのかは不明だ。現在も複数の米国人がロシアで拘束されている。マルコ・ルビオ国務長官は、ドナルド・トランプ大統領が「全員を帰国させることに尽力している」と述べた。

BTC-eとヴィニック氏の関与

ヴィニック氏は2017年にギリシャで逮捕され、2022年8月に米国へ身柄を引き渡された。

ヴィニック氏がロシアで拘束された米国人と交換されるのではないかとの憶測は何度か浮上している。2022年には、ロシアで逮捕された米国人バスケットボール選手ブリトニー・グライナー氏を巡る解放交渉でも名前が取りざたされた。この事件では、米政府が武器商人ヴィクトル・ボウト氏の釈放と引き換えにグライナー氏の帰国を実現させている。

さらに昨年にはロシアで拘束されたウォール・ストリート・ジャーナル記者のエヴァン・ゲルシコビッチ氏と囚人交換されるのではないかと報道されていた

BTC-eとMt.Goxハッキング

ヴィニック氏が2011年から2017年にかけて運営していたBTC-eは、取引総額90億ドル超、登録ユーザー数100万人以上を誇る仮想通貨取引所の1つだった。

BTC-eは2017年に閉鎖され、同取引所はかつて発生したMt.Goxのハッキング事件に関与していたとされている。Mt.Goxのハッキング事件は、当時史上最大規模のビットコイン(BTC)盗難事件であり、巨額の資金が不正流出した。