オーストラリア政府は、仮想通貨取引所の規制を検討している。10月16日に発表された「デジタル資産プラットフォームの規制に関する意見募集書」によると、政府は仮想通貨取引所に対して、金融サービス機関として登録を義務付ける方針だ。

意見募集書によると、新規制の目的は、消費者保護と革新の両立を図ることだという。

Regulating digital asset platforms proposal. Source: The Australian Government Treasury

具体的には、個々の仮想通貨やトークンではなく、仮想通貨取引所やサービス提供者を規制対象とする。また、既存の金融サービス法に基づいて規制する形で、新たな仮想通貨特有のルールを策定しない。

Crypto lawyer Aaron Lane said the industry has been pushing for this approach. Source: Twitter

この提案は、オーストラリアの仮想通貨取引所から賛否両論の声が上がっている。

オーストラリアの仮想通貨取引所Swyftxの最高法務責任者であるアダム・パーシー氏は、提案を「思慮深い」と評価し、「仮想通貨ユーザーがブロックチェーン技術を適切な保護の下で利用できるようにし、革新の余地があることが重要だ」と述べた。

一方、クラーケン・オーストラリアのディレクターであるジョナサン・ミラー氏は、提案を「仮想通貨を既存の金融サービス規制に押し込めている」と批判した。

ミラー氏は、「オーストラリアは、グローバルに比べて仮想通貨の規制が遅れているため、何らかの規制が必要なことは理解している。しかし、このアプローチでは、技術のニュアンスを無視する可能性がある」と指摘した。

「今後の仮想通貨の革新が、従来の『金融サービス』の枠組みから外れる可能性があるため、政府と協力して、そのメリットを損なわないようにしたい」

国際法律事務所Clyde & Coのパートナーであるリアム・ヘネシー氏は、政府がまだ「さまざまな種類のトークンやサービス提供者を理解しようとしている」ことは明らかだが、意見募集書に示された新たな提案はあくまでも提案であり、法的拘束力はないことを強調した。

「政府が提案することはあくまでも提案であり、政府はそれに従う義務はない。意見募集書が出されると、ロビー活動が行われるだろう」

さらにヘネシー氏によると意見募集書は、オーストラリアの仮想通貨業界が直面しているより切迫した問題である、最近の銀行からの取引停止問題に取り組んでいない点を指摘した。

「多くの国内外の仮想通貨取引所が、適切な銀行取引先を見つけるのに苦労している」と、ヘネシー氏は述べた。