オーストラリア国税庁(ATO)が今年、仮想通貨投資家に対する徴税を強化していることを同国の税の専門家が認めた。地元ニュースメディアのニュー・デイリーが15日に報じた。

 ATOは3月上旬、データマッチングなどを利用し、納税期間中に仮想通貨投資家を見分けると述べた。さらに二国間の租税条約やマネーロンダリング防止に関する合意を活用して、これまで匿名性が強かった仮想通貨空間から、さらに投資家を特定していくという。

 Etax.com.auのリズ・ラッセル上級課税官によれば、ATOはすべての仮想通貨投資家がしかるべき正確な税金を支払っているかどうか確認するための「臨戦態勢」をとっており、「オーストラリア国民が仮想通貨取引について負うべき税金を支払わせるために、データマッチング技術を強化していく」という。

 ATOは仮想通貨を資産として扱っているため(昨年、仮想通貨の二重課税状態は解消された)、オーストラリアで仮想通貨を売って得られた利益には資本利得税の条項が適用される。

 ビットコイン(BTC)は昨年12月に2万ドルまで高騰した後、記事執筆時点では6554ドル付近まで落ち込んでいるため、仮想通貨投資家は通貨の売却により、利益と損失の両方の機会があったことになる。つまり通貨の売却による損失は、仮想通貨や株、投資用物件を含む他の資産の売却益から差し引くことができる、とラッセル氏は言う。

 投資家が仮想通貨を使用して、個人で使う物品を購入した場合は例外となる。ブリスベンの世界初の「仮想通貨空港」で買い物をしたような場合だ。

 News.com.auは、H&Rブロック・オーストラリアの税務コミュニケーション部長であるマーク・チャップマン氏が、仮想通貨の課税強化について認めたと伝えた

「ATOは本気で(仮想通貨を)大きなリスク領域と見なしている。新しい分野であり、税制面での意味合いが理解されていないからだ」