3日間で27%下落した後、イーサリアム(ETH)価格は1月22日にようやく1040ドルで底を打った。

急激な調整により、6000億ドル相当の先物契約が清算されたが、興味深いことにビットコイン価格は下落傾向が続いているが、イーサリアム価格は過去最高を更新した。

ETH/USD 4-hour chart. Source: TradingView

最近の上昇が一時的な高値なのかどうか。オンチェーンのフローとデリバティブデータを詳しくみてみよう。

取引所でのETH引き出しが増加

取引所から引き出されたイーサリアムが増加しているのは、ステーキングやイールドファーミング、買い手がコールドウォレットに送るなど、複数の要因によって引き起こされた可能性がある。通常、取引所に預けられる仮想通貨の増加は、短期的には売却の兆候だと考えられている。逆に、仮想通貨の預金減少は一般的に長期保有の兆候と考えられている。

ETH held in exchange wallets. Source: Cryptoquant.com

上のグラフが示すように、1月23日に集中型取引所では2018年11月以来のレベルにまでイーサリアムの預金額が減少した。

これについては、一部が取引所のビットフィネックスがコールドウォレットへ移動させたものだという指摘もあるが、過去1ヶ月にわたって引き出し額が増えている傾向がみられる。

またこのデータは、分散型金融(DeFi)プロトコルでロックされた総価値(TVL)が過去最高の260億ドルに達したタイミングとも一致している。投資家が集中型取引所以外を選択しているとみられる。

先物は買われ過ぎ

先物と通常のスポット市場との間でのギャップを測定することで、トレーダーは市場での強気のレベルを測ることができる。

3ヶ月先物は通常、スポット取引と比較して、年率6%から20%のプレミアムで取引される。このプレミアムが低下するか、マイナスになるときは、警告灯が点滅している状況だ。これはバックワーディションとも呼ばれ、市場が弱気に転じていることを示唆するものだ。

一方、20%を超えるプレミアムは、買い手が過度なレバレッジを掛けていることを示しており、大規模な清算、そして最終的に市場の暴落につながる可能性がある。

2021年3月 ETH先物プレミアム. Source: NYDIG Digital Assets Data

上のグラフは、プレミアムが1月19日に6.5%でピークに達したことを示している。これは年率38%のプレミアムとイコールだ。この数値は、圧倒的に買われ過ぎであることを示唆している。

デリバティブが買われ過ぎにあることは注意すべき現象だが、それを短期間維持することはノーマルなことだ。トレーダーは、上昇中に一時的に通常のレべレッジを超え、後でリスクを調整するために原資産を購入する可能性がある。

その後、市場はイーサ価格の暴落の間にそれ自体を調整し、先物プレミアムは現在4.5%レベル、年率では28%のレベルとなっている。

スポットの取引高は引き続き堅調

先物契約に加え、トレーダーはスポット市場の出来高も追跡している。通常、取引高が少ない場合、市場が自身がないことを示唆している。したがって、大幅な上昇には、堅調な取引高が伴うはずだ。

ETHのスポット取引高. Source: Coinalyze.net

過去1週間、イーサリアムの1日あたりの平均取引高は61億ドルで、この数字は1月11日に記録した123億ドルからは低い数値だが、12月よりも240%高いままだ。したがって、この数値はポジティブな指標だといえる。

取引所が提供するデータは、トレーダーのロングからショートへのネットでのポジショニングが目を引くだろう。その場でのすべてのクライアントのポジション、先物契約を分析することにより、プロのトレーダーが強気もしくは弱気のどちらに傾いているかをより明確に知ることができる。

とはいえ、取引所の間では方法論に違いがある場合もあり、絶対的な数字ではなく、変化を監視することが重要だ。

トップトレーダーのETHのロング対ショート比率. Source: Bybt.com

バイナンスとフォビのトップトレーダー指標は、過去2日間でほぼ同じETHポジションを保持している。過去30日間のフォビの平均ロング対ショート比率は0.83だったが、バイナンスでは0.94となっている。

OKExは、1月22日にトップトレーダーのロング対ショート比率が2.0でピークに達し、ロングが強く支持されていたことが際立っていたが、1月24日には減少していき、最終的に1.05で底を打った。トレーダーが押し目買いをし、指標は再び上昇して1.17にまで回復した。

アービトラージデスクやマーケットメイカーは、取引所のトップトレーダーの指標の大部分を網羅していることは留意する必要がある。先物プレミアムが異常に高い場合、これらのクライアントが先物契約でショートポジションを作成すると同時にETHのスポットポジションを購入するように動機づけることになるだろう。

クジラの買いを示すETHのオンチェーンのデータと、健全な先物契約のプレミアムを考慮すると、市場構造は信頼できると思われる。

OKExのトップトレーダーが押し目買いをしたという事実は、上昇が継続することを示唆しているといえる。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン

ここに表示された見解および意見は、著者のものであり、必ずしもコインテレグラフの見解を反映するものではありません。すべての投資とトレーディングにはリスクが伴うため、意思決定の際に独自の調査を実施する必要があります。