最近の原油価格の下落は、仮想通貨(暗号資産)マイニング業界にも地殻変動をもたらすかもしれない。

ブロックチェーン専門家で『マスタリング・ビットコイン』の著者である、アンドレアス・アントノプロス氏は、エネルギー価格低下により、米国のビットコイン(BTC)マイニング事業者が競争力を持つことになる可能性を指摘している

現在、ビットコインのハッシュパワーは、その3分の2を中国が占めている。ケンブリッジ大学の推計によれば、中国が65%を占め、米国は7.2%で第2位、ロシアが6.9%で第3位となっている。

これは中国での石炭発電による電気代が安価なためだと、アントノプロス氏は指摘する。石油価格の低下に伴い、電力コストが世界的に低下していけば、中国の競争力が低下する可能性がある。

その上で、アントノプロス氏は米テキサス州での仮想通貨マイニング事業が活発化している点にも注目する。

「米国のテキサス州では、新しいマイニングオペレーションの最大規模の1つが開始されている。それは偶然であるとは思えない。今回の危機や石油価格の変動の前から進められていたが、テキサスの素晴らしい天気やおいしい料理のためではないだろう。(テキサス州は)1日1万2000バレルの産出量を誇る米国最大の産油州だ」

アントノポロス氏は、テキサス州は石油価格下落による安い電力の恩恵を受ける最適な場所であると指摘。将来的に、米国に拠点を置くマイニングj業者に「はるかに大きな競争力と利益をもたらすだろう」と予測する。

仮想通貨マイナーが集積するテキサス州

テキサス州では、ピーター・ティール氏が支援したマイニング企業レイヤー1(Layer 1)が今年2月にビットコインのマイニングを開始した。レイヤー1のアレクサンダー・リーグルCEOは、2021年までにハッシュレートの25%獲得を目指すと語っている

SBIホールディングスも今年2月、テキサス州でマイニングを開始したことを発表した。ブルームバーグの1月の報道ではGMOインターネットもテキサス州でマイニングをすると伝えられている

また大手マイニング事業者ビットメインも昨年10月、テキサス州にマイニングファームを運営している

さらにビットメインは今週、米国でマイニング装置のメンテンアンス資格認定プログラムを開始すると発表した。これにより、米国でのマイニング装置の修理がより迅速になり、事業環境が向上するとみられている。