昨年9月にビットコイン(BTC)を法定通貨として採用したエルサルバドルは、10億ドル規模のビットコイン債の立ち上げを再び延期した。

ビットコイン債は火山債(もしくは火山トークン)とも呼ばれ、2021年11月にその構想が発表された。トークン化した債券を発行し、投資家から10億ドルを調達するというものだ。そして、その調達資金はビットコインシティの建設やBTCの買い増しに使われる。

この債券は2022年の第1四半期に発行される予定だったが、不利な市場環境や地政学的な危機を受け、9月に延期された

しかしビットフィネックスとテザーの最高技術責任者であるパオロ・アルドイノ氏は、ビットコイン債の発行が再び延期され、発行が年末になると明らかにした。

アルドイノ氏はコインテレグラフとのインタビューで、今回の発行延期がエルサルバドル内での治安問題に起因すると示唆した。同国ではギャングと治安部隊との衝突が深刻化している。これにより、政府のリソースが削られることになり、「火山トークンのローンチの遅れは、この文脈で見なければならない」と言う。

ビットフィネックスは、ビットコイン債の発行にあたり取引処理を担う重要なインフラパートナーだ。ただし、ビットフィネックスはまずエルサルバドル政府から発行ライセンスを取得する必要があり、これは9月に予定されているデジタル証券法案の可決後に付与される予定だ。

アルドイノ氏は、法案の最終草案ができたことを確認し、エルサルバドルのブケレ大統領の政党が過半数を占めていることから、今後2週間以内に法案が通過する見込みであると語っている。

「このような法律の成立に必要な安定性が国内にあれば、今後数週間のうちに同法が議会で承認を得られると確信している」

ビットフィネックス・セキュリティーズ・エルサルバドルいう現地法人が、「これが法律として成立した後、エルサルバドルのデジタル証券規制の枠組みの下で営業ライセンスを申請する予定だ」という

いくつかの報道や市場専門家は、投資家の関心が薄れていることや現在の仮想通貨市場の低迷をビットコイン債の障害として指摘しているが、アルドイノ氏は、ビットコイン債の背後にあるアイデアは、市場の状況に関係なく、投資家の関心を集めるだろうと考えている。

さらにアルドイノ氏は、ビットコイン債はBTCの普及を加速させる可能性を秘めているとも述べ、ミームコインの例を挙げて説明した。

「ミームコインのドージコインが480億ドルの時価総額を得ることができたことを考えると、デジタルトークン経済圏には明らかに10億ドルの火山債を支えるのに十分な投資家の需要がある」

2021年9月7日にBTCを法定通貨にしたエルサルバドルは、約2301BTCを約1億390万ドルで積み上げた。強気相場の時は、投資で得た利益で学校や病院を建設したほどだが、現在の相場低迷で、保有するBTCの価値は現在約4500万ドルとなっている。