欧州中央銀行(ECB)のファビオ・パネッタ理事は、欧州議会でスピーチを行い、デジタルユーロの可能性を探るフォーカスグループの調査結果について語った。同理事は、オンラインおよび実店舗でデジタルユーロが使用できるようになることが重要であると述べている。

29日に公開された声明文によれば、パネット理事はECBのデジタル決済に関するフォーカスグループの調査結果を取り上げた。パネッタ氏によれば、20年前にユーロ紙幣を導入した時のようにデジタルユーロを受け入れる必要があることを示唆した。

「ユーロ紙幣の導入により、ユーロ圏のどこであっても物理的にユーロで支払うことが可能となった」とパネッタ氏は語り、デジタル決済においても「どこでも支払える」能力が最も重要になると説く。

「理想的には実店舗とオンラインの両方で、ユーロ圏全体のすべての店舗がデジタルユーロを受け入れる必要があることを意味する。…したがって、人々がデジタルもしくはオンライで支払うことができる場所ならどこであっても、デジタル的に紙幣が補完されることを期待するのは当然だ」

またフォーカスグループの調査レポートによれば、一般市民や事業者の多くがデジタルユーロに慣れてなく、デジタル通貨が導入されることで現金が段階的に廃止されてしまうことを恐れているという。しかし、デジタルユーロのコンセプトが正しく説明されると、一般の人々は「あらゆる店舗やオンラインで広く受け入れられること」が最も望ましい機能であると述べ、事業者側も前向きにとらえていたという。

またパネッタ氏は、プライバシーに関する懸念についても触れ、デジタルユーロを設計する上で重要なファクターになると述べている。同氏は高度なプライバシーの維持と公共政策上の目的とのトレードオフについて様々なオプションを検討してきたと語る。ECBは2022年末ン向けてデジタルユーロに関する別のフォーカスグループを設立し、政策決定に必要なデータをさらに集める方針だという。