デジタル通貨の発明者、暗号学者デビッド・チャウム氏は、ブロックチェーンと仮想通貨の真のキラーアプリは、決済機能を統合した、プライバシー重視のメッセージングシステムだと考えていると語った。ブルームバーグのポッドキャスト「オッド・ロッツ」が、5月27日配信のインタビューで明らかにした。

チャウム氏は、1982年に安全でプライバシーを保護するデジタル通貨に関するアイデアを記した論文を発表。ポッドキャストのインタビューにおいて同氏は、「現代のプライバシーとデジタル主権に対する意識の高まりが、大衆社会および消費者向けソリューションとして、ブロックチェーンと仮想通貨のブレークスルーになった」と語った。

チャウム氏は次のように続けた。

「現代の世界では、本当のキラーアプリは、中国のウィーチャット(WeChat。微信)のように、同一のソフト名・ブランド名の下で決済機能と統合した、メッセージングシステムだ。そしてフェイスブックが何に変わったのか、(中略)それはブロックチェーン技術を内部に備えるウィーチャットだ。」

チャウム氏は、メッセージングシステムにおける通信者間の暗号化について、デジタル主権の保護には不十分と指摘。送信者・受信者、タイムスタンプを含むデータ配送経路情報などのさまざまなデータに対して、サードパーティーや第三者がアクセスするのを防ぐため、消費者はブロックチェーン技術をはじめ他の技術的解決策をますます意識すると主張した。

そのため、仮想通貨にとって次の大きな現象は、各種データ保護を最適化し、価値転送とメッセージングサービスを単一のブランド名の下でサポートし統合したプラットフォームになるだろうと明かした。

「それは、デジタル無記名証券に基づく決済システム、デジタルコイン、そして『(誰が)誰と話しているのか』などの情報に関する解決策であり、分散型アプリを利用することで安全にチェーン外で実行できる。」

チャウム氏の予測は、同氏創設のメッセージングおよび決済プラットフォーム「エリクサー(Elixxir)」と密接に関係している。これは、ブロックチェーン技術を採用しており、今月初旬にテストネットワーク(アルファ版)として公開された。


翻訳・編集 コインテレグラフ日本版