破綻した仮想通貨取引所FTXによれば、同社の債権者への資金返還のための資金が、米税務当局の内国歳入庁(IRS)が提案している240億ドルの税金請求によって吸い取られてしまう可能性が高い。

IRSは今年5月以来、FTXとその関連会社アラメダ・リサーチの未払いとなっている税金を徴収しようとしている。IRSは5月10日、FTXとその子会社に対して45件の合計440億ドルの請求を行ったが、最近になってその金額を240億ドルに減額した。

しかし、12月10日にデラウェア州の破産裁判所に提出された文書の中で、FTXは内国歳入庁の請求が「根拠のない」ものであり、影響を受けたFTXユーザーへの資金返還にも影響を及ぼすと述べた。

「これにより、詐欺の被害者であるFTXの債権者のほとんどが、意義ある回収を得ることを事実上阻止されることになる」と同社は述べた。

「債務者がIRSの根拠のない請求に従い、債務者がこれまでに得たどんな収入よりも桁違いに大きな税金を支払うという根拠は存在しない」とFTXの弁護士は述べ、「IRSが独自のプロセスに依存していることは、真に被害を受けた人々への配分を遅らせるだけだ」と付け加えた。

FTXは、240億ドルの請求は見積もりの対象ではなく、法的な根拠も欠いていると主張している。「この『不思議の国のアリス』的な議論は法的な支持を全く得ていない」と述べた。しかし、IRSは現在も監査を進めており、その完了にはさらに8か月かかると予想されているという。

12月12日にFTXと米国政府は裁判所でこの請求の正当性について争うことになるとみられる。

一方、FTXは現在、約70億ドルの資産を回収しており、その中には34億ドルの仮想通貨が含まれている。

同社の元CEOであるサム・バンクマン=フライド氏は11月に詐欺罪など7件の罪状で有罪となり、2024年3月28日の量刑判決を待つ状態だ

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン