中国の大手決済アプリ「アリペイ」を運営するアント・グループが9月25日、 アントチェーンをベースとする中小企業向け国際取引プラットフォームを新たに発表した。

通称「Trusple」と呼ばれるこのプラットフォームは「信頼を簡素に」というコンセプトに基づき、越境取引プロセスの効率化を目的としている。アント・グループのアドバンスド・テクノロジー・ビジネス・グループの蒋国飛社長は次のように述べた。「Truspleは越境取引に関わる中小企業と金融機関の頭を悩ませる問題を解決するためにデザインされた」。

ここで言う「問題」には発送や決済の遅延を引き起こす信頼の欠如に加え、注文の信頼性を検証することに関わる追加の銀行取引コストも含まれる。これらを緩和するべく、Truspleはアント・グループが最近始動させたブロックチェーン・ソリューションの「アントチェーン」を利用する予定だ。アントチェーンには人工知能、モノのインターネット化、計算処理の保護といった技術が用いられている。

買い手と売り手はまず初めに、取引の注文をTruspleにアップロードすることになる。このプラットフォームはブロックチェーン上にスマートコントラクトを生成する。これは注文が進むにつれて、物流、関税、その他の関連データに関する情報でアップデートされる。Truspleに基づき、買い手の銀行と売り手の銀行がアントチェーン上のスマートコントラクトを通じて支払いを行うことになる。

コインテレグラフはこのブロックチェーンのスマートコントラクトと直接やりとりすることが見込まれる銀行がどこかを知るべく、アント・グループに連絡を取ったが、記事発行時点では回答を得られなかった。

Truspleは「越境プロセスの最適化を支援」するために、BNPパリバ銀行、シティバンク銀行、ドイツ銀行、スタンダードチャータード銀行といった大手国際機関と提携を結んでいる。Truspleがその目標を達成し、中小企業間の国際取引におけるバックエンドサプライチェーンと決済処理サービスを効率化できるならば、貿易企業や金融機関も同じく費用便益が向上する可能性がある。

アント・グループは最近、300億ドル規模の新規株式公開(IPO)を香港と上海で申請した。成功した場合、これは史上最大規模のIPOとなる予定だ。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン