米国商品先物取引委員会(CFTC)理事のクリスティ・ゴールドスミス・ロメロ氏は、11月30日にシンガポールで開催されたFutures Industry Association Asia Derivatives Conferenceで講演した。講演ではサイバーセキュリティと仮想通貨に重点が置かれ、「新たな脅威から保護しながら、技術が提供する最高のものを活用する方法」について話した。

ゴールドスミス・ロメロ氏は、仮想通貨がもたらすリスクから消費者と市場を保護するために、2つの提案をした。1つ目は、投資家の定義についてだ。CFTCの現在の「個人投資家」の定義は、一般家庭の顧客から大富豪やヘッジファンドまでを含む、あまりにも広範なものとなっている。そのため、「個人投資家を守るには、誰が個人投資家なのかを再定義することから始まる」とし、仮想通貨投資家は次のような属性を持つという。

「ほとんどが1980年以降に生まれた若い世代で、多様性に富み、年収は5万ドル以下だ。これはCFTCが見慣れている典型的な顧客ではない」

そのために、彼らをこれまでの投資家と同じように扱うべきではないとゴールドスミス・ロメロ氏は述べた。また、「有意義で的を射た顧客保護なくして起こるであろう、顧客の圧殺を許すべきではない」と述べた。

ゴールドスミス・ロメロ氏は、個人投資家を「一般家庭」と「プロや富裕層」の2つのカテゴリーに分けることを提案。顧客保護は両グループに適用されることもあるが、各カテゴリーに個別に追加の消費者保護を提供できるという。

伝統的な金融では、ブローカーが消費者にとっての投資の妥当性を判断する役割を担っている。仮想通貨取引ではアプリなどを通じて市場に直接アクセスするようになっているため、仲介のない取引では、「規制当局が顧客に対するリスクを評価することが重要である」とした。

もう一つの提案は仮想通貨取引所への監督強化だ。「今日、私はCFTCが仮想通貨取引所に対する監督強化を発動することを初めて公に呼びかける。[中略)それは、デリバティブ取引所に対する我々の既存の権限の範囲内だからだ」

しかし、CFTCはその監督を実施するために「何ヶ月も」彼女の呼びかけに耳を傾けていない。ゴールドスミス・ロメロ氏は、CFTCコミッショナーのキャロライン・ファム氏の「個人投資家支援室」の設置を求める声を支持した。

ゴールドスミス・ロメロ氏は講演の中で、仮想通貨とは関係のないブロックチェーンの使用例についても強調した。「分散型台帳技術は、病気を予防し、食品を安全に保ち、廃棄物を制限し、農業の時間とお金を節約する可能性がある」と語った。