エストニアの金融当局は、仮想通貨事業へのライセンス供与を厳格化する規制の制定を目指していると報じられている。2020年には、同当局はエストニア国内で事業を行っていた仮想通貨企業の約3分の2のライセンスを取り消していた。
ERRニュースによると、エストニアの金融当局は今年1月に、同国の仮想通貨業への包囲網を狭める法案を発表した。提案された規則変更の一環として、エストニア金融監督庁(Finantsinspektsioon)が今後、金融情報機関(FIU)の代わりに仮想通貨事業の規制を監督することになるという。
この変更により、警察に属するFIUが仮想通貨事業を監督する現在の枠組みの代わりに、仮想通貨業の監督は今後、金融規制機関の権限になる。
エストニアで事業を展開したいと思う仮想通貨企業は、金融監督庁にライセンス料を支払わなければならなくなる。さらに、現在ライセンスを所有している381社は、金融監督庁から営業許可を再申請する必要もある。
金融当局の報道官であるエルキ・ペーゲル氏によると、エストニア政府の目的の本質は「反仮想通貨」ではないという。一方、すでにライセンスを所有している仮想通貨企業のわずか50~100社が提案された規制変更に従う立場にあると当局は見込んでいる。
また今回提案された規制変更は、マネーロンダリング活動を防止する政府の取り組みの中で実施される。2020年6月には、デンマークのダンスケ銀行の2200億ドル規模のマネーロンダリングスキャンダルが起きた。また、2020年には、仮想通貨詐欺師らがエストニアの電子住民プログラムを悪用したと報じられた。
一方、汚職事件をきっかけとしたエストニアのユリ・ラタス前首相の辞任による同国の最近の政治的混乱で、法案通過は保留となった。実際、本日5日は、エストニアの議会がこの問題について検討する期限だった。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン