2009年にマイニングされた仮想通貨(暗号資産)ビットコインが移動したことが話題となっている。議論を呼んでいるのは、ビットコイン創設者のサトシ・ナカモトが活動を開始したのではないかという説やクレイグ・ライト博士の主張が正しいかどうかだ。コインテレグラフはライト氏の弁護士に問い合わせて、ビットコインを動かしたのはライト氏かどうか聞いた。
一方、移動したビットコインの一部はコインベースに到着したようだ。ビットコインの額自体は大きくないが、市場心理を冷やすことになるかもしれない。
一部はコインベースに到達か
問題となっているビットコインは50BTCで2つのアドレスに40BTCと10BTCに分けられて送金された。オリジナルの50BTCは、2009年2月9日にマイニングで作られたもので11年間も休眠状態にあった。
出典: Blockstream Explorer.
40BTCは手つかずのまま置かれているが、ブロックチェーン取引追跡企業チェイナリシスによると、10BTCの方はミキサーに移動したようだ。
(出典:OXT Explorer.「問題のビットコイン取引」)
チェイナリシスによると、一部のビットコインが米国最大の仮想通貨取引所であるコインベースに到着した形跡がある。
チェイナリシスは「一見したところサトシナカモトではないと考える」と述べた。
サトシ対ライト
また、今回の冬眠状態だったビットコインアドレス(17XiVVooLcdCUCMf9s4t4jTExacxwFS5uh)は、自称サトシ・ナカモトでビットコインSVを率いるクレイグ・ライト氏が、自身が保有するアドレスとしてフロリダ州の裁判所に提出したものだった。
(「裁判資料 「ライト氏がビットコインアドレス保有を主張」)
コインテレグラフはライト氏の弁護士であるアンドレス・リヴェロ氏に問い合わせて、ライト氏が移動したのか聞いた。リヴェロ氏は以下のように答えた。
「ノーコメントだ。もし何か言うとしたら連絡する」
もしライト氏が移動していないと言うことになると、ライト氏の所有アドレスではないと結論づけられることになる。その場合、ライト氏が裁判で保有を主張する他のビットコンアドレスの信ぴょう性が無くなることになる。
ライト氏は、故デイブ・クレイマン氏の資産管理人と巨額ビットコインの取り分をめぐりフロリダ州で争っている。次回の裁判は、7月6日に予定されている。
マーケットは下落
今回のニュースがインターネットに流れた時間帯にビットコインは時価総額を約65億ドルも減らした。自称サトシ・ナカモトであるライト氏が投げ売りを始めたのではないかと言う懸念が背景にあった可能性もゼロではないだろう。
(出典:TradingView (Coinbase) 「ビットコイン価格」)
ちなみに10年以上アクティブでないビットコインは140万BTC近くに上る。結局のところ今回のビットコインは氷山の一角に過ぎないだろう。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン