サンフランシスコを拠点とする仮想通貨決済企業ワイヤーは、10年近くの事業活動の後、市場の低迷による経済的な課題を理由に閉鎖することを決定した。
同社は6月16日のブログ記事で、「主要な利害関係者や顧客の最善の利益を守るため」として、事業の終息を決定したと説明している。「米国の規制当局の方針とは無関係である」とも述べている。
「ワイヤーは顧客資産の保全を続けている。ワイヤーのプラットフォームに資産がある場合、7月14日の金曜日までワイヤーのダッシュボードから出金することができる。その後、プラットフォーム上に残った資産を回収する別のプロセスが行われる」としている。
ワイヤーのチームはまた、同社の資産が売却対象になっていることを示唆し、「ワイヤーまたはその子会社の資産を取得に興味がある場合は、88パートナーズに連絡してください」と書いている。
同社は、2022年9月にボルトがワイヤーを15億ドルで買収する計画をキャンセルして以降、苦境に陥っていたと報じられている。数ヶ月後、法定通貨から仮想通貨へのオンランプソリューションプロバイダーのジュノが、保管パートナーであるワイヤーをめぐる「不確実性」を理由に、1月4日にユーザーにジュノプラットフォームから仮想通貨を出金し、自己保管するよう促した。翌日、メタマスクも同じ問題でワイヤーの仮想通貨決済サービスへのサポートを終了した。これから数日後、ワイヤーは全ユーザーに対して90%の出金制限を課したが、1月13日に「戦略的パートナー」からの資金調達を確保したことで、その90%の制限を解除し、同社が立ち直りつつあることを示唆した。ただし、ワイヤーは1月に75人の従業員を解雇したとも報じられている。
ワイヤーは、長期にわたる弱気市場のプレッシャーに耐えられなかった仮想通貨・ブロックチェーン企業やプロジェクトのリストに名を連ねることになった。5月だけでも、仮想通貨金融技術企業アンバンクト、ライトニングネットワーク決済プラットフォームのボトルペイ、仮想通貨取引所ホットビット、NFTプラットフォームのテレッサ、デジタルカレンシーグループの機関投資家向け取引プラットフォームだったトレードブロックが、仮想通貨の冬の影響で閉鎖した。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン