ビットコイン(BTC)価格が12,000ドルを下回ったため、一部の投資家は3月に発生したような仮想通貨市場の暴落が発生するのではないかと心配し始めている。

ただし、オンチェーン分析企業CryptoQuantのデータは、ビットコイン取引所に滞留しているビットコインの量が低下しているため、市場の暴落にはならないと指摘している。

CryptoQuantのキ・ヨンジュCEOは、次のように述べている

「人々は3月のような大幅な売りを懸念しているが、取引所にはその時ほどの多くの(売却待ちの)アイドリング状態のビットコインはない」

All Exchanges Reserve and MPI charts

出典: CryptoQuant 取引所リザーブとMPIチャート

ビットコイン取引所のリザーブ指標は、取引所で保持されているBTCの量を示すものだ。この数値が低くなっていれば、投資家が取引所からBTCをより安全で永続的な保管場所に引き出したことを示唆している。

チェイナリシス(Chinalysis)のデータも、同様の傾向を示している。さらにオンチェーン分析のグラスノード(Glassnode)は同様の動きを指摘し、「ビットコイン取引所の残高減少は売り圧力の低下を示している」と述べている

足元では仮想通貨(暗号資産)取引所では260万BTCがある状態であり、これは3月の暴落前の水準である290万BTCのときよりも低くなっている。

マイナーは売却していない

CryptoQuantのデータでは、ビットコインマイナーが現在のビットコイン供給を維持することを選択していることも明らかにしている。

これは、マイナーがより高値を期待していることを示唆している。マイナーはビットコインの売り圧力のかなりの部分を占めているため、ビットコイン価格に一定の影響力を持っている。

ビットコインのハッシュレートも増加しており、これはBTC価格が生産コストを上回ることに自信を持っている人が増えているということであり、もう1つの強気のサインとみられている。

All Bitcoin Exchange Inflows

出典: CryptoQuant ビットコイン取引所への流入

取引所が保有するBTCの量は2020年で最低水準にあるが、CryptoQuantのデータも、取引所へのビットコインの流入が増加しているため、この数値がすぐに変化する可能性があることを示している。

CryptoQuantのCEOによると、取引所に送られるBTC量が増加していることは通常、弱気のサインだ。 

「スポット取引所へのBTCインフロー(ネットフロー)は潜在的な売り圧力を示している可能性があり、ステーブルコインの流入は潜在的な買い圧力を示している」

ビットコインの取引所へのインフロー増加は一般的に悪いニュースだが、グラスノードのデータによると、8月17日にBTCが高値に達した後、テザー(USDT)の流入も増加している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン