楽天証券やSBI証券など証券会社を中心とする「証券コンソーシアム」は19日、六本木で第1回目の証券コンソーシアム全体会合を開催した。業界横断的な証券事務の検討や、ブロックチェーンを活用した本人確認の実験の結果を確認した。年内に新サービスの提供を目指す。

 同コンソーシアムは、特にブロックチェーンに着目し、生体認証、AI(人工知能)等の先端技術を活用した新たな金融インフラの構築を目指し、参加各社の業務効率化によるコスト削減や、証券サービスの利便性向上を目的にしている。

会合では、本人確認(KYC)・本人認証ワーキング・グループ、共通事務ワーキング・グループ、分散台帳技術(DLT)先端実験ワーキング・グループの3つのグループが、検討内容や実証実験の結果を確認した。

 楽天証券によると、IDとパスワードを使って行う本人認証の方法は30年間変わっておらず、現状はログインの管理や手間を利用者に依存している。また、本人確認にいたっては、手続きが複雑なことに加え、証券会社各社で多少プロセスが異なるため、複数の口座開設が当たり前の現状で、顧客が口座開設を途中で諦めたり、時間がかかったりという課題があった。これらの問題を解決するため、ブロックチェーンなどを利用し、金融機関16社が本人確認プロセスを共通化するなどの実証実験を行った。

 実験の結果、参加した顧客の64%が本人確認共通化の利便性を評価、証券会社の93%が口座開設までの時間が削減できたと回答した。システムや仕組みの設定は概ね完了しており、次は実装の段階にある。

 今後は、本人確認の書類郵送手続きの有無を検討したり、新たなワーキンググループを設置していく計画だ。具体的な時期は協議していないが、年内に新サービスを開始する目標を掲げているという。

 証券コンソーシアムに参加する企業は以下の35社。

 藍澤證券、今村証券、岩井コスモ証券、エイト証券、SMBC日興証券 、SBI証券、岡三オンライン証券、岡三証券、岡三証券グループ、カブドットコム証券、QUICK、GMOクリック証券、証券ジャパン、スマートプラス、セコム、セコムトラストシステムズ、だいこう証券ビジネス、大和証券、東海東京フィナンシャル・ホールディングス、東洋証券、内藤証券、日本電気、野村総合研究所、野村ホールディングス、日立製作所、ポラリファイ、松井証券、マネックス証券、丸三証券、みずほ証券、三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券、むさし証券、楽天証券、ワイジェイFX 、One Tap BUY。

 事務局は、銀行やクレジットカードのコンソーシアムを率いた実績のあるSBI Ripple Asiaが担当する。